Cotopaxi 山の麓、海抜 3,100 mの所にある牧場に虹が架かった後、トリトマの花の蜜を、ホヴァリングしながら吸っていたアオミミハチドリ。
前回は Cotopaxi 山の中腹海抜 4,100 メートルの水辺に棲息する Andean Lapwing (アンデスツメバゲリ)を取り上げましたが、今回はそこから 1,000 メートルほど下った牧場の脇に生えていた Torch Lily( トリトマ ) の花の蜜をホヴァリングしながら吸っていたアオミミハチドリと、またもや、調べても調べても私には判らないハチドリを載せます。このハチドリは、赤道記念碑公園北側の木の枝で、囀っていたのを撮ったものですが、光の角度のためか、地味な羽色に写り、青や緑に光り輝く小鳥といったイメージの強いハチドリらしさがあまり出ていません。事実、このハチドリは、ちょっと離れた木立にいたアオミミハチドリと較べてもかなり地味なので、後で日本に帰ってから図鑑で調べようと思って帰国したのですが、結局なんというハチドリなのか判らずじまいです。ただ、エクァドールのアンデス高原で最も頻繁に眼にするアオミミハチドリでないのは、腹部に青い羽のかたまりがないのと、その部分より少し下に白い羽が見られる事で明らかです。なにせ、エクァドールにはハチドリだけで 120 、あるいは 130 種以上いると最近は言われていますし、そしてその鳥を見たり撮ったりする時の光線の反射角度によって、かなり羽の色が違って見えるので、以前にも書いたように、私はハチドリの識別に関してはあまり深追いはしないようにしています。これは、どう考えても、プロの仕事です。残念ながら私のような素人の手に負えるものではありません。
海抜 2,483 mの赤道記念碑公園にいた名称不明のハチドリ。
最近ではエクァドールでも、海外からもっとバーダーを組織的に呼び寄せて、バード・ウォッチング・ツアーを盛んにして一つの独立した産業にすべきだ、という声が大きくなって来ました。つい先日、 8 月 5 日付の首都キートの新聞“ Diario Hoy” にも、「エクァドールには 1,640 種もの野鳥が棲息しているにもかかわらず、その自然の恵みを生かすことが出来ていない。コスタ・リカにはエクァドールの40%の野鳥種しかいないのに年間4億ドルもの外貨を稼いでいる。」といった記事が載っていました。私がよく読ませていただいている Home Page のオーナーで、コスタ・リカ在住の日本人バーダーの方が、エクァドールへ最近行かれて、アマゾンやアンデス西山麓で素晴らしい写真を撮って来られた事と、この記事が出たことに何らかの関係があるのかどうかは分かりません。
しかし、私のように、もう四十二年もエクァドールとの関係に携わって来た者にとっては、一人でも多くの、日本人を含めて、外国人がエクァドールを訪れて、未だ残っている、あるいは残そうとしている、野鳥をはじめとする貴重な自然を見て、その素晴らしさを認めてくれれば、自然保護に一生懸命になっている人達だけでなく、バナナ、オリート、パイナップル、野菜、バラなどを減農薬栽培、あるいは有機農法で育てている人々にも大きな励ましになることを知っていますので、とても嬉しいことです。実際、「ほら、害虫が発生したぞ。殺虫剤だ。そら、シガトカ病(バナナにとってのイモチ病のような厄介もの)が出た。防ばい剤だ、殺菌剤だ。」と言って、病虫害を化学薬剤で手軽に処理しようとする風潮が未だ世界中に蔓延している中で、自然環境保全と農園労働者やその地域の住民の健康を考えて、化学薬剤を使わず、あるいは、その使用を最低限に抑えようとして、必死になっている人達にとっては、エクァドールの自然が認められ賞賛されることは、たとえそれが、自分たちの農園から遠く離れているガラパゴス諸島、アマゾン地帯やアンデス山麓の事であっても、嬉しいことだと、私に話してくれたバナナ農園主が多数いるからです。