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No.98 Andean Lapwing & Thrush

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、"Andean Lapwing (アンデスツメバゲリ:Vanellus Resplendens) & Thrush (和名・学名不明)"です。

Andean Lapwing (アンデスツメバゲリ:Vanellus Resplendens)

アンデスツメバゲリが翼を大きく広げてポーズをとってくれたのですが。Cotopaxi 山麓の水辺で。

今回は世界で一番高い活火山と言われる Cotopaxi( コトパクシ 標高 5,897 メートル ) の 4,100 メートルの所で出会ったアンデスツメバゲリとツグミの仲間と思われる野鳥を取り上げます。ただし、このツグミの仲間と私が推測している鳥は、 The Bird of Ecuador はもとより、私の持っている幾つかの図鑑、 Birds of Colombia, Birds of Costa Rica, Birds of Peru, Birds of Venezuela, Birds of Southamerica, Birds of Mexico などにもこれだというものは見当たりません。何とか見つけようと思ったので、ツグミの仲間だけではなく、チドリを含めてそれらの図鑑に載っている総てのイラストを見て来たのですが、だめでした。幼鳥、若鳥、雌の場合も考えられるので、掲載されているものは、丁寧に見たつもりですが、どうも分かりません。

何でチドリなのかと言いますと、 4,100 メートルの高さにある周囲2キロメートル程の沼を中心にした低い潅木とお花畑が展開する高原には、ケリ、カモ、カモメ、など多くの水鳥も棲息しているからです。カモメの仲間が 4,100 メートルのアンデス高原を飛んでいるのを数十年前、初めて目にした時はちょっと驚きましたが、今は鳥類の環境適応性の高さに感心しているばかりです。

Thrush (和名・学名不明)

ケリを撮っていたら、多分、好奇心が強い鳥だったのでしょう。ちょこちょこと傍によって来たツグミのような野鳥。

ケリのほうは、 Cotopaxi の山麓だけでなく、 Chimborazo (チンボラソ山)の山麓でも 4,000 メートル位の高さにある Paramo (パラモ)と呼ばれる草原の水周りで見ていますし、他の高山の山麓でも割合容易にこのアンデスツメバゲリが見られるとガイド・ブックに書かれています。

その高さにある高原ですが、地球の緯度上は、ほとんど零度、つまり赤道直下に位置するため、気温は日本やヨーロッパ、アジア大陸に位置する 4,000 メートル級の高山のようには厳しくなく、時に雹や霰が降るぐらいで、日本の夏山で言えば 2,000 メートルから 2,300 メートルぐらいの山の気象状況、植相と似ています。ただし、気圧は高度に反比例しますので、やはり、 4,000 メートルは 4,000 メートル、当然、酸素は薄く、息はすぐに上がります。まして、その高原までは車で行けますので、高度順応期間なしで、その高さに立つのですから、普通の人にはきつい体験となります。かなり、高度に強い私でも息を詰めてシャッターを何枚も切るのは苦しい所作です。この高さで、仲間と散策をしながら、ひょっと立ち止まって、手持ちで、手振れ防止の無い望遠レンズで野鳥を取らなければならなかったのは、無茶を通り越して、論外だったですね。