群れを率いていたリャマの雄。
今回は南米大陸固有の動物リャマと世界中で見られるロバを取り上げました。どちらもエクァドールのアンデス高地では普通の家畜です。皆様もご存知のように、リャマはラクダの一種で、その仲間はリャマ、アルパカ、グアナコ、ヴィクーニャと呼ばれる四つが南米に棲息しています。エクァドールには、そのうちリャマ、アルパカと、一度はエクァドールから姿を消した後、チリーから寄贈されて再生しはじめたヴィクーニャがいます。アンデス高地といっても、大体海抜 3,000 メートル位までは、牛や馬も頻繁に目にしますが、それより高地になると、羊、アルパカ、リャマの世界になります。また、アンデス高地の人達は Fritada (フリターダ)と呼ばれる、豚肉を 50~70 グラム程の小さなブロックに切って高温のラードでバナナ、トウモロコシ等と一緒に揚げたものを好んで食べます。ただ、 3,000 メートルを超えるような高地でブタを飼っているのは目にしたことはありません。
海抜 2,800 メートルに造られた首都のキートでも、時々雹(ひょう)が降って道路を真っ白にするくらいですから、 4,000 メートルを超えると気圧が低く、空気が薄いだけでなく、昼間でも頻繁に雹、霰が降ります。そんな気候ですので、その高度で生きて行く動物達は環境に適した進化を続けます。毛は長くなり、おそらく皮下脂肪も厚くなっているのだと思いますが、皮下脂肪の厚さを測ったことはありません。体毛は外から一見しただけで分かりますから、その一本一本が細く、密生しているのが確認できます。細く、長い柔らかな毛は服装素材としては古くから珍重されてきました。このことは今更ここで書く必要もないほどで、高地に棲む有名なヤギ、カシミヤの毛、あるいはアルパカの毛で織られた服地やセーターが高価なことは、皆様ご存知のとおりです。
それまで降っていた雹が止み、青空が出てきた高原で草を食んでいた長毛のロバ。
インディオと呼ばれ続け、現在では先住民と呼ばれる、我々と遠い祖先が同じだとされる人々の開く土曜市、特にエクァドールで有名なのは、オタヴァロ族の土曜市ですが、そこでメインになっている商品は、羊毛あるいは、アルパカの毛で織られたセーターやカーディガンです。高級乗用車ベンツの新車に乗っているオタヴァロ族の金持ちがいるという土地柄で、前政府には外務大臣を筆頭に三人の大臣を出していたほどですので、知識欲も高く、商売上手で有名な人達が住んでいる町ですが、アルパカのセーターは売っていても、さすがにヴィクーニャの毛で出来たセーターはありません。 1 キロの金より、 1 キロのヴィクーニャの毛の方が高価だと言われているくらいなので、エクァドール国内では流通していません。全量輸出されているとのことです。
このリャマの写真は、チンボラソ山( 6,310 メートル)の西山麓 4,100 メートルの高原に放牧されていたのを撮ったものです。前々日から海抜 2,800 メートルのキートに入って少しは高地順応を心掛けていたのですが、さすがに 4,100 メートルを超えると、呼吸を止めてシャッターを押し続けているだけで息が上がってしまい、何回も深呼吸を繰り返しました。
ロバの写真は、リャマを撮った地点とはチンボラソ山を挟んで反対側の東山麓に位置する、同じく 4,100 メートルの所にある牧場で撮ったものです。一目見たときは、その毛むくじゃらの動物がロバだとは気が付きませんでした。こんなに毛足の長いロバは見た事がなかったので、しばらく感心して見ていました。これなら、ロバの毛のセーターが編めそうですよね。
前回も書きましたように、 日本テレビ系列全国ネットの番組「所さんの目がテン!」 が、来る24日から、 3 日曜日連続でエクァドール特集を組む事になっています。アンデス編では、コンドルをはじめとするいくつかの野鳥も紹介されるそうです。是非見てください。