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No.94 Gallina de variedad peruana & Gato con barba

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、番外編" Gallina de variedad peruana & Gato con barba(ペルー種の雌鶏と顎鬚の長い猫) "です。

Gallina de variedad peruana & Gato con barba(ペルー種の雌鶏と顎鬚の長い猫)

脚から蹴爪にかけて羽が生えているのが分かりますよね。こんな雌鶏はこの一羽だけではありません。本当にこんな鶏がペルーには多いのかどうか私は知りません。ただ、オリートの農園主はペルー種だと断言していました。

今回の番外編は、家禽とペット。ペットといっても放し飼いの猫で、山の中の一軒家に飼われている猫ですが、野良猫ではありません。今までは、野鳥、野草、昆虫、爬虫類、両生類、アシカなどの野生の生きものしか扱って来なかったのですが、家畜、家禽、ペットといっても、日本の皆さんには、「へえ、珍しい。」と、言われるような、ある意味ではエクァドールらしいものを三回にわたって扱うつもりです。

写真にある雌鶏ですが、これは前回のインコのIsidro君を撮ったオリートの有機栽培農園 “Hda. Luisita”の隣、と言っても1キロメートル程離れた所にある、やはりオリートの有機栽培農園 “Hda. Oro Verde” で農園の中に放し飼いにされている、所謂、地鶏です。五十羽ほどの雌鶏の群れを率いているのは一羽のシャモ位もある大きな雄鶏で、見知らぬ来訪者、つまり我々農園見学者が来ると、警戒の鳴き声を発するところなど、番犬並みです。オリート農園の中を歩いていて、それまでは「鶏か。」と思って注意深く見ることもなかったのですが、一通りオリートの生育具合も見終わったし、未だ陽も高く、小鳥達もあまりいなかったので、農園の奥で鳴いていた鷹を撮った後は、することもなく雌鶏と雛の群れを見ていました。すると、私が今迄に見てきた、というか、見慣れた雌鶏とはかなり異なった見かけの雌鶏が混じっているのに気が付きました。普通、鶏の雌は小さなトサカを頭の上にくっつけているものですが、何羽かの雌鶏の頭の上には防寒帽を目深に被ったように羽の塊が被さっていて、トサカが見えないのです。その上、足の蹴爪の所まで羽が生えていました。こんな鶏は寡聞にして聞いたことも、写真で見た事もなかったので、農園主に聞いてみました。「De que variedad es esta gallina ? (何ていう種類の鶏ですか。)」 すると、親爺さんが「La variedad peruana.(ペルー種だよ。)」と教えてくれました。私達に付き添ってくれていたエクァドール人の農業技師も知らなかったらしく、「私はバナナ栽培の専門家なので、家禽のことは分かっていたつもりなんですが、セニョール・イトー、こんな鶏を見るのは初めてですよ。」といっていました。叢に産み落とされていた卵の大きさは、チャボとレグホンの卵の中間ぐらいでした。

Gallina de variedad peruana & Gato con barba(ペルー種の雌鶏と顎鬚の長い猫)

私の家にも、シャルトリューの猫がいますし、家の周りにはいつもノラちゃん達がやって来ますが、どの猫にもこんなに長い顎鬚は生えていません。

次の写真、これは、インコのIsidro君が住み着いた農園の飼い猫で、先月エクァドールに出張したとき、何気なく写真に撮り、帰国してからコンピューターで拡大してよく見てみたら、白く長い顎鬚が、まるで東洋の仙人のように生えているのに気が付きました。犬猫好きの我が家の者も顎鬚がこんなに長く生えている猫は、世界の猫図鑑でも見たことがない、と言うので、ここに載せてみました。猫の横に張っているひげは細い所を通り抜ける時などに、自分と脇の物体の距離感を測るのに使うという事を読んだ記憶がありますが、下に長く伸びている顎鬚は何に使うのか、しばらく考え続けていました。