サニート・バナナ園の縁に出てきたハイボウシヒタキモドキ。
この鳥の写真はLa Costa(海岸地帯)北部のサニート農園で撮ったもので、そのときは、「Social Flycatcher (アカボウシヒタキモドキ)にしては地味だし、頭に赤い羽根の部分も見えないし、ただ、首から胸にかけての羽は薄い灰色の部分が多いし、なんというタイランチョウかなあ。でも、タイランチョウは種類も多いし、そっくりさんが多過ぎるし、帰国してから図鑑を見るしかないか。」と、独り言を言いながらその場を離れました。このタイランチョウは、東部(アマゾンとその隣接地)とLa Costaでは北部にしか棲息していないと知っていたなら、もっと近寄って何枚も写真を撮っていたのに、La Costa の南部では見かけないとは思っていなかったので、つい粗末にしてしまったのが残念です。 もちろん、タイランチョウの中には、羽色が美しいもの、例えば、Vermillion Flycatcher, 尾っぽが長いもの、Long-tailed Tyrant, 冠羽が見事なもので有名なのは、Pacific Royal Flycatcherなど、個性的なものも多いのですが、原生林が激減してしまったLa Costaでは、Vermillion Flycatcherを除いては、図鑑や野鳥案内書の表紙を飾るような個性的な野鳥は減少してしまい、バナナ園視察をしながら鳥見をする私などが目にする機会は殆どありません。それでも、地味な鳥でも出会った鳥はしっかり撮っていれば、もっと多くの種類の野鳥写真が手元にある筈なのですが、凡人の悲しさ、「ああ、また、普通のタイランチョウか。」などと、もったいなくも、罰当たり(表現が古過ぎますね。)なことを呟いて、以外に数少なくなった野鳥を取り損なっているような気がします。
同農園で距離があるのを、背面から撮ったもの。
虫喰いのタイランチョウは、La Costa で単一作物大規模栽培、例えば、水田、バナナ、サトウキビ、マラクニャ(パッション・フルーツ)、大豆、コーン、綿花、アフリカン・パーム、アバカ(マニラ麻)、牧畜、海老の養殖、等がありますが、これらが盛んになればなるほど、その地域の生物多様性が失われ、その土地に適応して永い年月生息していた様々な生物を、この場合、ある種の昆虫を激減させたり、ある特定な虫を爆発的に発生させたりした結果、それを餌としていた野鳥をその地から追いやったり、新たな環境に適応できる新しい鳥を呼び込んだりする事が起きました。ただ、野鳥の総数はかなり減少したと思います。エクァドールのような所でも、悲しい事に、野鳥のRed Data Bookには多くの鳥達が載っています。Pacific Royal Flycatcherもその例外ではありません。これだけ、そう、四十数年もエクァドールのLa Costaに出張し続けていても、未だこの有名なタイランチョウを見たことはありません。
いずれにせよ、タイランチョウとハチドリの識別、特に、フィールドに於ける識別は素人には無理と、諦めております。