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No.88 Least Sandpiper

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、" Least Sandpiper (アメリカヒバリシギ: Calidris minutilla ) "です。

Least Sandpiper (アメリカヒバリシギ: Calidris minutilla )

雨季に、San Marcos農園の堆肥場脇にできた水溜りに群れていたアメリカヒバリシギ。

このシギは渡りをするため、エクアドールでは5月から7月の間は見かけることはない、とガイド・ブックに書かれています。雨季が終了する五月から盆休みを利用できる8月の間にバナナ産地視察をすることの多い私達が、このシギをあまり目にしていないのもそのためです。このシギは海辺でも淡水の水辺でも観察される、とも記されています。ただし、1キロメートル程水辺から離れていても、確実に餌のある所なら飛んで来るとは書いてありません。


Least Sandpiper (アメリカヒバリシギ: Calidris minutilla )

堆肥を作るために、裁断されたバナナの全房の茎にくっ付いていた虫を取っていたヒバリシギ。

この写真を撮ったのは雨季に出張したときで、場所は今まで何回も舞台となった、モカチェ市の女性市長Andradeさんのサニート農園 ”Hacienda San Marcos (サン・マルコス)”の堆肥場です。この堆肥場はRio Quevedo (ケヴェド川) の岸辺からは直線でも1キロ以上は離れています。Andradeさんの農園は、第53回に取り上げた“Collared Plover (クロエリチドリ)”やこの“Least Sandpiper”, “Spotted Sandpiper”などのシギ類、サギ類、カモ類等など水鳥の多いことは今までに何回も書いて来ましたが、いったいどの位の種類の水鳥、陸鳥が一年を通じて見られるのかは、私にはわかりません。農園の関係者で野鳥観察を趣味としている人が、オーナーファミリーの中や従業員の中にいる、といったことは聞いた事もないので、この丘、林、川に囲まれた農園に、どんな野鳥がやって来るのかを正確に知っている人はいないと思います。 「日本やアメリカだったら、知り合いの中にバーダーがいて、いろいろな情報を提供してくれるだろうになあ。」と、いつも思っています。特に、派手な羽色の野鳥が多いエクアドールでは、アマゾンにいる人目を引く野鳥たちや、アンデス高地でハチドリを熱心に観察する人達の話はよく聞きますが、ラ・コスタの地味な水鳥や同じく地味な陸鳥に興味を持っている観察者の話はあまり聞いたことがありません。こんな事をもっともらしく書いている私でさえが、見栄えのする鳥、珍しい鳥、ワシタカなどには夢中でレンズを向けるほうですから、他人様のことをあれこれ言う資格は全くないのですが、こうしてバナナ園とその周辺で見られる野鳥や他の生き物などを弊社のホーム・ページで扱うようになった行き掛かり上、地味な鳥にも注意を向け、改めてガイド・ブックを開きながら勉強している次第です。ガイド・ブックを見ていても、アマゾン地帯や首都のあるアンデス高地の野鳥はさておき、La Costa (太平洋岸の平野)からアンデスの西山麓にかけての野鳥に関しては、もうちょっと言及されていても良いのではないかと思っています。La Costaは開発が進んで原生林は殆どなく、アンデス西山麓の急峻な斜面にしか残っていないので、どうしても、野鳥に限らず様々な自然の観察にも熱が入らないのかなあ、と思っています。その意味では、Mindo (ミンド)のような野鳥などの自然観察者を対象とする場所が、La Costaやアンデス西山麓に次々と設定されて来ているのは喜ばしいことです。