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No.83 Ranita

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、"Ranita (カエル:学名も通称も不明)"です。

Ranita (カエル:学名も通称も不明)

一昨年の九月、Sr. Landeta(ランデッタさん)のサニート農園で、バナナの枯れ葉の下から顔を出した小さなヒキガエル

今回と次回は蛙にしました。正直言うと、私は蛙を扱うのはいろいろな意味であまり得意ではありません。前にも書きましたが、子供のころはガキ大将でしたので、蛇はマムシ以外、当時ヤマカガシは無毒だとされていましたから、平気で首根っこを掴んで持ち歩いていました。しかし、蛙はあの肌触りがなんとなく苦手で、皆の先頭に立って素手で掴むような真似はしませんでした。しかし、その皮膚ゆえに蛙類は化学薬品には敏感で、農薬使用の過多や、自然環境を計る指標としては非常に大事な生き物だと言われ、それからは、注意深くそして好意的に蛙を見るようになりました。私の親しくしていただいた方が大の蛙好きだったことも、私の気持ちに変化をもたらしたのだと思います。

その方とは、何度となくエクアドールへ出張を共にし、雨季のバナナ園では、そこここで雄と雌のガマガエルが出没して 相手を選択しているのを見て写真に撮ったり、アンデスの海抜4100メートルの峠では、道路わきの水溜りで、私の息子がオタマジャクシを見つけて、「こんな高い所でオタマジャクシに会えるとは思いませんでしたねえ。」などと皆で童心に帰ってわいわいやった思い出もあります。


Ranita (カエル:学名も通称も不明)

女性市長さん、Sra. Andrade(アンドラーデさん)のサニート農園で、雨季にバナナの枯れ葉に溜まった小さな水たまりに産み付けられていた写真1と同じヒキガエルの卵。。

減農薬栽培バナナ農園やサニート農園では、日本のアマガエルと同じように地面ではなく、バナナの幹や葉の中で暮らしていて、小鳥が鳴くような声で鳴いているもの、日本のトノサマガエルのような姿かたちをしたもの、これぞ、ガマガエル、ヒキガエルと言った大型でちょっと凄みのあるもの、この写真のように、私達の手の親指よりも小さなヒキガエル(?) など、実に多種多様なカエルを見ることができます。この写真の小さなヒキガエルは、普段は腐葉土として土に戻るよう農園内に意識的に残されたバナナの葉の下に潜み、卵も写真2のようにバナナの葉に溜まった水の中に産みます。エクアドールの代表的な生き物の写真図鑑でこのカエルの名前を調べようとしたのですが、図鑑の両生類の所では、アマゾンのジャングルに棲む色鮮やかなカエルや、珍しいカエルしか載っていなかったので、このカエルの名前はわかりません。Ranitaとは、スペイン語で小さなカエルという意味です。ヒキガエルのことはZapo(サーポ)と言います。また、エクアドールでZapoと言うと、狡い奴、抜け目のない奴といった意味もあります。