嘴と顔面に花粉を付けていたので、一瞬、なにか新しい種類のハチドリを見つけたのかと興 奮したのですが、レンズを通してよく見ると、アオミミハチドリでした。
このアオミミハチドリが、アンデス高原では一番目にする機会の多いハチドリです。
エクアドールの国土は、自然条件上も文化的にも、それぞれがはっきりした特徴を持つ四つの地域に分類されます。東から、アマゾン、アンデス高原、ラ・コスタ(沿岸地帯)、ガラパゴス諸島の四つです。
ハチドリはガラパゴス諸島には棲息しません。他の三つの地域ではその環境に適応した130種を超えるハチドリが見られます。
レストラン、 La Mirage の花壇を飛び回っていたアオミミハチドリ。
海抜 1500 メートルから 3000 メートルの高地に展開するアンデス高原は、その気候条件が一年を通じて夜間は低い時で摂氏 5 度程、昼間は晴天時で 25 度前後という、高度による低い気圧と酸素濃度のやや薄いことにさえ慣れてしまえば、人間が暮らすには快適な環境のため、プレ・インカの時代からここでは文明が栄えてきました。この人間が好む環境はアオミミハチドリにとっても棲み易い環境なのでしょう、公園でも、果樹園でも、また庭園でも何処へ行っても、このハチドリに会います。このハチドリはテリトリー意識の非常に強いのが特徴と The Birds of Ecuador に書かれてありますが、フレンチ・レストラン「 La Mirage 」で食事をしながら窓ガラス越しに見ていても、フィーダー ( 餌箱 ) の吊るされた木の枝のすぐ傍に陣取って、やって来る他のアオミミハチドリや Little Woodstar 、White-bellied Woodstar といった体の大きさが半分位のチビハチドリの仲間を徹底的に追い払います。そんな光景を見ていると、つい感情移入してしまい、「そこまでやらなくても良いんじゃないの、ハチドリ君。」と声を掛けたくなるほどです。もちろん、アオミミハチドリはフィーダーに入っている甘い水を吸うだけではなく、庭に咲き乱れている花々の中から自分好みの花を選び、その蜜を吸いに飛び回りますので、プラスティックのフィーダーに乗ったハチドリだけでなく、花に戯れるハチドリを撮ることも難しいことではありません。多分、このレストランの庭園でホヴァリングをして花の蜜を吸うハチドリを撮るのは、ガラパゴスで野鳥を撮るほど簡単ではありませんが、置きピンをしなくても何とかなりますので、アマチュア・カメラマンには楽しい所です。ハチドリはある花の方へ飛んで行くと、次々というか、順番にというか、その周りに咲いている上下左右の花の蜜を吸いに飛び回るため、次にどの花の辺りに行くのかなあと予想がつくので、ピント合わせが思っているほど難しくないのが助かります。さらに、太陽光線を反射するメタリックで鮮やかな羽色が、カメラのオート・フォーカス機能をより容易にするのだと思います。