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No.77 Fasciated Wren

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Fasciated Wren(ヨコジマサボテンミソサザイ:Campylorhynchus Fasciatus)"

Fasciated Wren(ヨコジマサボテンミソサザイ:Campylorhynchus Fasciatus)

El Recuerdo 農園の堆肥場のコンクリートの縁で餌を獲っていたヨコジマサボテンミソサザイ 。

このミソサザイの仲間を私がはじめて間近に見た場所は、カラカラやタニシトビ、ヒメコンドル等のところで今までにも何回か紹介した、エクァドールで一番大きなバナナ農園、 Had. Clementina のゲスト・ハウスでした。朝早くからの産地回りで空腹を訴え始めた友人達と私は、放し飼いにされた文字どおりの地鶏と、農園内に放牧され牛舎に戻れば輸出適外品としてはねられた青いバナナを与えられて育てられる牛の、肉料理がおいしいと日本やヨーロッパからの訪問客の間で評判のクレメンティーナ農園の昼食を食べようとゲスト・ハウスに来ました。皆は早速、冷えたビールやジュースなどを飲み、談笑が始まったのですが、外の様子というより野鳥が気になってしょうがない私は、食事がテーブルに並ぶまでという屁理屈をもっともらしく口にしてから、一脚に取り付けたカメラを担いで外に出ました。

Teca(エクアドール・チーク)の厚い一枚板で作られた階段を下り始めたとき、目の前の電柱とガイシに二羽、サイズはヒヨドリよりも少し大きい位の、しかし日本で見慣れた野鳥のどれとも似ていない鳥が止まっているのに気が付きました。一羽が羽を咥えてもう一羽に一生懸命にアピールしていたので、これは番いなのだろうという見当は付きましたが、肝心の何という種類の野鳥かはまったく思い当たりませんでした。日本へ帰って来て、数冊の鳥類図鑑を見ているうちに、これがミソサザイの仲間だということはわかりました。


Fasciated Wren(ヨコジマサボテンミソサザイ:Campylorhynchus Fasciatus)

同じ場所で撮ったものですが、この方がこの鳥の姿かたちが良くわかるかとおもいます。日本のバーダーが抱いているミソサザイのイメージとは違っていませんか。

次の出張で、ペルーとの国境に近い南部の Machala(マチャラ)にあるサニート農園に行ったとき、そこで前回中部地帯のクレメンティーナ農園で見た、この Fasciated Wren を見たのです。今度は、堆肥場の真上にある、やはり電柱に巣が見つかり、三羽の雛も一緒だったのでゆっくりとこのミソサザイの仲間を観察し、撮影することが出来ました。

この鳥は体もかなり大きく、多分気性も荒いのでしょう、あまり他の野鳥を怖がる様子もありませんし、何よりも、好奇心がとても強いのか、あるいは、 El Recuerdo 農園では堆肥場の世話をしているおじいさん達に追われたり、苛められたりしないのか、レンズを向けても、彼らのやりたいことをやっていますので、我々アマチュア・カメラマンにはとてもありがたい野鳥です。