水田の奥の方にいたクロエリセイタカシギ。沼地やバナナ園の中の池などでも、ちょいちょい見ます。
前回はガラパゴスの干潟に来るクロエリセイタカシギを載せました。今回は、前にもたびたび水鳥のところで取り上げた、Sr. Ledesma(レデスマさん)の有機水田にやって来ていたクロエリセイタカシギにしました。ガラパゴスと大陸は約1000キロメートル離れています。したがってガラパゴスで見られる動植物には、固有種あるいは固有の亜種が多く、野鳥でもその名の頭に「ガラパゴス」と付くものが多いのですが、このセイタカシギはガラパゴスに棲息するものも、大陸にいるものも単に、「クロエリセイタカシギ」です。水鳥の飛翔距離、移動距離が非常に長いこともその理由でしょう。
グァヤス河の河岸で営まれているレデスマさんの有機栽培バナナ園は、約50ヘクタール(50町歩)で、それに隣接している有機栽培水田は80町歩を超えるくらいと思われます。そんな環境ですので、水田では、サギ類、シギ類、チドリ類、バン、 レンカク、ウ類、ヤマセミ類、カモ類、ツバメ類、鷹鳶類など、注意深く観察すれば、一時間程で25種を超える水辺の鳥と、そのほかに10種程の陸鳥を観察できると信じます。ただし、バナナ園廻りを慌しく、短時間でこなさなければならない我々バナナ屋に出来ることは、珍しい鳥を目にしたとき、あるいは、数百羽を超えるチドリ、シギなどが群れて飛んでいるのを見たときなど、日本の干潟以外ではもうあまり目にすることがなくなった光景に出会った場合に、車を止めてカメラを向けるぐらいのことです。ただし、正方形に作られた水田の奥に群れている野鳥は、アスファルト舗装の道路からはあまりに遠く、35ミリカメラに400ミリの望遠レンズと1.4倍のエクステンダーを付けただけでは、 とても写真になりません。今度、レデスマさんの農園に行くときは、画角が狭くなるデジカメを持っていこうと思っていますので、今までよりは楽になるのかなあと思っています。ただ、一度でいいから、30分ほどでも、道路わきに車を止めてゆっくり水鳥を撮ってみたいものだと思っています。
この日は、二十羽ほどの群がユキコサギの小さな群の脇で餌を取っていました。
このときもレデスマさんの田んぼには、ダイサギ、ユキコサギ、ヒメアカクロサギ、ナンベイレンカク、チドリ、シギ、クビワヤマセミ、ミドリヤマセミ、タニシトビなどがいました。ヒメアカクロサギとヤマセミ類を除いては、それぞれが十数羽から百羽以上の群で田んぼのあちこちで餌取をしており、同行の仲間と、「水鳥好きのバーダーがここにいたら、喜ぶでしょうね。」と話しながらシャッターを切っていました。