バナナ園の野鳥と生き物 = バックナンバー =


No.73  Green Iguana

Photo & Text:Motoaki Itoh

番外編"Green Iguana(ミドリ・イグアナ);

Green Iguana(ミドリ・イグアナ)

Cordova (コルドヴァ)さんのサニート農園、 Santa Monica でのんびりとバナナの葉の上で陽に当たっていたイグアナ。怪獣といった顔つきですが。

今回と次回は、ちょっと野鳥を離れて、バナナ園で見られるミドリ・イグアナとこれに近い種から進化したと言われている、ガラパゴス諸島のリク・イグアナを扱おうと思っています。

イグアナはバナナ園の中では、普段、周囲に残っている高い木々が茂る林や藪の中などの人目につきにくい所にいて、時々、移動のため農道を横切つて我々と出くわします。その姿を以前ほどは見かけなくなったのも、他の野生動物達の場合と共通しています。それでも、野生哺乳類と較べればはるかに多く目にします。

ラ・コスタ(エクアドールの海岸地帯)に近代的農業や牧畜が広く行われるようになる前は、おそらく信じられない位の数のイグアナがいたのではないかと思われます。というのは、今日でも、グァヤキールのカテドラル前の 1 ヘクタールにも満たない狭い公園に行くと、生後数ヶ月の小さなイグアナから成長した1メートルを超えるようなものまで、何十匹ものイグアナが飼育員の持ってくる餌の草を食べているのが見られますし、また、グァヤキール空港の脇にある空軍の兵営内の木という木には何匹ものイグアナがしがみ付いているのを見ることもできます。つまり、保護されている所では驚くほどイグアナは増えるのです。勿論、大規模に農業や牧畜が営まれる前は、多分、鷲鷹をはじめとする猛禽類、ジャグァー、ピューマ、犬科の捕食獣などの天敵も原野を徘徊していた筈ですので、今日、教会の公園や、一般人が入れない軍の施設内で目にするようなイグアナがうようよしているといった光景が当時の原野で見られたとは思いませんが。

Green Iguana(ミドリ・イグアナ)

写真1の隣の葉で体を温めていたもう一頭のイグアナ。バナナの葉の上でイグアナがこういう姿勢で休んでいるのを見たのは、しかも、二頭が並んでいるのはこの時が初めてで最後でした。

野生の捕食者のほかで、イグアナが恐れるのは人間です。こんな恐ろしげな顔つきをしていても、ミドリ・イグアナは草食で、いたっておとなしい生き物です。地面を這っている時は信じられない位素早く走りますが、樹上にいるときは、ゆっくり動きます。つまり、比較的捕えやすい動物です。ある地方では好んでイグアナを食べます。エクアドールでは田舎へ行くとイグアナを食べる人が多いようですが、都会では食べる人はあまりいないと聞いています。食味は、鶏に似ている、いや、蛙のほうが近い、ワニの肉とそっくりだと言う人さまざまですが、概して、鶏よりは固く、味はイグアナの方が上だと言う人の方が多いようです。