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No.72  Blue-black Grassquit

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Blue-black Grassquit(シコンヒワ:Volatinia jacarina)"

Blue-black Grassquit(シコンヒワ:Volatinia jacarina)

San Marcos 農園で、テラピアをアオサギ、オオサギ、ユキコサギ、ミサゴイ、クビワヤマセミ等の大型水鳥から守るために養魚場に張り巡らされたネットの上を飛び回って虫を取っていたシコンヒワの雄の成鳥。

このシコンヒワをはじめて見たのは、 Finch 類が多い Quevedo (ケヴェド)地区の丘陵地帯でした。前にも Variable Seedeater (第28回掲載、カワリヒメウソ)のところで説明しましたように、 Quevedo からアンデス西山麓に展開するオリートの産地、 La Mana に至る丘陵地帯では、特に草や木に実がなる乾季になると、 Seedeater の仲間、 Grosbeaks 、 Finches 等の多くの野鳥が見られます。バナナ園の周りや農道、園内にある牧場、双発機が離発着する飛行場の周囲には、牧草となるススキのような草、イネ科の草等が多く、乾季にはそれらの草が、他の植物と一緒に一斉に結実するので、 Seedeater が目に付き易くなるのだと思います。

背丈の高いイネ科の草の実や、蔓科の実、潅木の実を食べに来る Seedeater 達は概して体は小さく、ちょこちょこと動き回るものが多く、オート・フォーカスではカメラが草や枝にフォーカスしたり、鳥に焦点を合わせたりと、行ったり来たりしますので、とても写真が撮り難いものばかりです。そのように動きの細かい小さな野鳥には私の腕ではとてもマニュアルで焦点を合わせることが出来ませんので、綺麗で変わった野鳥を幾つか見ているのですが、フィルムに収められなかったものも二・三あります。いつか撮ってやろうとは思っていますが、何時になりますやら。


Blue-black Grassquit(シコンヒワ:Volatinia jacarina)

同農園で撮ったシコンヒワの若鳥。同じ種の鳥と思えますか。

そんな Seedeater 達が来るのを落ち着いて待っていて、なんとか写真が撮れるのは、女性市長のアンドラーデさんのサニート農園「 San Marcos 」です。私が今までに撮ったウソ類、シトド類等の、 Seedeater 達の半数以上はここで撮ったものです。

このヒワの成鳥の羽色は写真のように、まさに blue-black ですが、幼鳥の羽色は写真2にあるように、茶色を基調としたマダラ模様をしています。最初にこの幼鳥を見た時は、また新しい種類の Seedeater を見つけたと思ったのですが、去年、 The Birds of Ecuador が手元に届き、シコンヒワのところを見ていたら、その脇に1 J として私が別種だと思っていた鳥の頭部が載っていました。「ええっ、まいった。」というのが率直な感想でした。こんな思い違いをするのもバーダーの楽しみの一つなのかなあ、と変に自分を納得させた次第です。