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No.69  Rufous-Collared Sparrow

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Rufous-Collared Sparrow (アカエリシトド:Zonotrichia) "

Rufous-Collared Sparrow (アカエリシトド:Zonotrichia)

キートの赤道記念碑の庭に植えてある立ち木の中から囀りを続けていたゴリオン。

人間の生活圏内で棲息し、家禽ではないけれども、もう野鳥と呼ぶには抵抗を感じる人もいるに違いない鳥の代表が、カラス、ハト、スズメ、ツバメではないかと思います。その中で、エクアドールにはカラスはいません。しかし、カラスの代わりに Scavenger (掃除や、余り物処理係)の役割を担っているのは、クロコンドルと和名を持つ、 Black Vulture です。羽毛が真っ黒な点と、ゴミや死骸に群がる点は共通ですが、なにせ体の大きさは全く違いますので、クロコンドルが何十羽も群がっているとまさに壮観としか表現のしようがありません。カラスの群どころではありません。

クロコンドルはさておき、今回の野鳥は現地で“ Gorrion(ゴリオン)”、まさしく、「スズメ」と呼ばれている Rufous-Collared Sparrow です。アンデス高原2800メートルに位置する首都キートで、初めてこの鳥の囀りを聞いたときは、ひっきりなしに囀ることと、そのメロディーが単純ながらとても耳に快いので、すぐに道案内をしてくれていた少年に、「この小鳥はなんという鳥ですか。」と訊いたところ、“ Gorrion” という言葉が返って来ました。大学時代スペイン人の先生達から「スズメは Gorrion と言います。」と教わっていたので、「ああ、スズメか。」と思ったのですが、日本のスズメやニュウナイスズメとは鳴き方が全く違って、可愛らしくメロディアスな囀りだったため、こんな鳴き方をするスズメはどんな姿をしているのだろうと道端の立ち木を覗き込みましたが、姿を見ることは出来ませんでした。それから数日して、たまたまこの鳥を確認できたのですが、私にはどうしてもスズメと言うよりも、ホオジロに似ているなあという印象が強かったのを想い出します。ホオジロにより近いのであれば、その囀りがスズメよりも美しいのも当然です。スズメの鳴き声、鳴き方が可愛らしいと思ってらっしゃる方には、申し訳ありません。

Rufous-Collared Sparrow (アカエリシトド:Zonotrichia)

公園のアスファルトの所に出て来たゴリオン。

解説書によれば、この鳥はメキシコからチリーに至るラテン・アメリカ大陸、北から南までのアンデス山脈に沿って、1200メートル位から3000メートルほどの高地に棲んでいるとのこと。どうりで、この囀りをラテン・アメリカの山間の街ではほとんど何処へ行っても耳にするのだなあ、と納得した訳です。