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No.64  Pacific Pygmy-Owl

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Pacific Pygmy-Owl(Glaucidium peruanum)"

Pacific Pygmy-Owl(Glaucidium peruanum)

オリートの産地、Bucay(ブカイ)地区、農家の物置の竹の梁に止まっていたスズメフクロウ。

この小さなフクロウにはまたしても和名が見つかりませんでした。 Pygmy-Owlは「スズメフクロウ」と訳されていますので、ここでは仮に、「パシフィック・スズメフクロウ」とでもしておきましょう。このスズメフクロウはラ・コスタ地帯にはかなり広く棲息しているものと思われます。その理由は、有機栽培農園、サニート農園、減農薬バナナ農園、オリート農園に限らず、いわゆる強い農薬の使用を控えている一般のバナナ園でもよく見かけるからです。そのような農園に多いというのは、昆虫や小動物がいない農園では、餌が無いから棲めないという簡単な理由でしょう。農業用水路や農園の中を流れる小川で小魚が見え、またその水辺にボア、蛙、カミツキガメ等の爬虫類、両生類が棲息する所(そんなバナナ農園は沢山ありますが)では、昼間でもこのスズメフクロウの鳴き声をよく耳にします。小さな体の割には、かなり大きな鳴き声です。

多くのフクロウが夜行性で、陽が高いうちは人目につきにくい場所で昼寝をしていると言われますが、このフクロウは日中でも、見晴らしの良い目立つ場所に止まっていることが多く、また、体の割に大きな目を見開いて辺りを見回していますし、好奇心が強く人間をあまり怖がる様子も見えませんので、出会えさえすれば写真は撮りやすい野鳥の一つです。何よりも過眼線(眼の周りを覆う線)が暗い色で覆われ、眼の位置がはっきりせず、太陽光が反射しないと Eye Catch が入りにくいタイランチョウやフウキンチョウ等と違って、大きな目がはっきり写りますので、我々、アマチュアにはありがたい被写体です。

Pacific Pygmy-Owl(Glaucidium peruanum)

サン・フェルミン農園の牧場で、マメイの木に止って餌探しをしていたスズメフクロウ。

二番目に載せた写真は、雨季の二月、サニート農園「Hda. San Fermin」の入り口にある牧場をジープで走りながら、上空をすごいスピードで飛び回っていた5羽のSwallow-tailed Kite(ツバメトビ)をなんとか写真に撮ろうと焦った挙句に失敗して、レンズを牧場の柵の上に止まっていたタイランチョウに向けようとしたとき、脇に生えているマメイ(日本の柿に似た味の果物)の木の中で何かが動いたので、目を凝らすと、このスズメフクロウが首を回しながら餌を探していました。