バナナ園の野鳥と生き物 = バックナンバー =


No.60  Guppy & Peces

Photo & Text:Motoaki Itoh

番外編 "Guppy(メダカ)& Peces(サカナ)"

Guppy(メダカ)& Peces(サカナ)

ヴィエッハとドジョウの仲間。クレメンティーナ農園の中にある、パリサーダ地区の農業用水で。

今まで多くの水鳥を取り上げてきて、その餌となる魚は、第21回目にクレメンティーナ農園の水辺で見られるヴィエッハしか番外篇で載せていませんでした。ヴィエッハは日本のハヤ程の大きさで、大きいものになると、50センチ位までになりますので、これは、ダイサギ、ミサゴイ、クビワヤマセミなど比較的大きな水鳥が捕ります。ミドリヤマセミ等の比較的小型の水鳥が狙うのは、タナゴ、ドジョウ、グッピー等の種類が多いようです。

しかし、グッピーは他の魚にも捕食されますので、幅30センチ程で所々がコンクリートで護岸(?)されたような、あまり他の魚が近寄って来ないような排水路などで群れています。もちろん、農業用水路でも岸辺の草で身が隠せるような浅瀬では、静かにしていると姿を見せます。私が Packing House (包装場)のコンクリートでできた、そんなちっぽけな排水溝の中に、日本のメダカそっくりなグッピーがいるのに気が付いたのは、 20 人程の人間達が騒がしく働いている、包装場から20メートルも離れていない排水溝のコンクリートの淵に、ミドリヤマセミの雌が静かに溝の中を覗きこんでいるのを見たからです。最初は、なんでそんなに騒々しい場所にミドリヤマセミが、バナナの葉の上からではなく、よりによって地面と同じ高さのコンクリートの淵から中を覗きこんでいるのか、まったく見当が付きませんでした。「珍しい被写体だ。もうけもの。」と、喜んだ私が10メートル位まで近づいても、ヤマセミは逃げないので、シャッターを 4 、 5 回押して、さらに近づきました。さすがにその距離では、鳥も我慢できなくなったのでしょう、ぱっと飛んで行ってしまいました。ヤマセミがいなくなった排水溝を覗き込んで驚いたのは、そこに数十匹のメダカ( Guppy )が泳いでいたのです。うれしくなってシャッターを切りましたが、慌てていたせいか、どれもひどいピンボケで、参考資料として利用する以外、まったくどうしようもない写真でした。コンクリートの淵に止まっていたヤマセミは、まあ、見られる程度には撮れていました。

Guppy(メダカ)& Peces(サカナ)

サニート農園主、Sr.E.Cordova(コルドヴァさん)のサンタ・モニカ農園の用水路で見たグッピー。

話しはちょっと飛びますが、メダカは、今や日本の多くの小学校でクラブ活動の研究対象になっていますので、皆様も充分ご存知のように、とても棲息域の水質に敏感で、ちょっとした水質汚染でもその生存が脅かされるような魚です。ですから、化学薬品あるいは化学農薬が使用されているかどうか、を計るには理想的な生物です。

メダカや、蛙、ハチ、コウモリ、小鳥なども同じです。私は、これらの生き物を、訪問する農園のエコロジーの度合いを計るバロメーターにしています。

生物の多様性が見られない所は、どんなにバナナを売っている人達、輸入業者、農園主、農園労働者、農協職員が「ここでは、農薬の使用が最小に抑えられています。」と、主張しても、私は信用しないのです。口では何とでも言えます。極端に言えば、証明書があっても、そこに小動物が見られない所は、私は信用しないのです。

硬い話になってごめんなさい。でも、「素敵な宇宙船地球号」でサニート農園の自然を見ていただいた方々には、私が意固地になっているのではないことを判っていただけると思います。