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No.59  Striated Heron

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Striated Heron(ササゴイ:Butorides Striatus)"

Striated Heron(ササゴイ:Butorides Striatus)

サニートの El Recuerdo 農園で、脇に植えてある潅木の中から用水路の小魚を見ていたササゴイ

英語名から検索したら、ササゴイと出てきました。検索サイトに載っていた写真は、日本の清流で鮎を捕っているところでした。しかし、エクアドールのバナナ園に居るササゴイは、どうも鮎よりも大分小さい魚を捕るのでしょう、サニートや有機バナナ農園の脇に作られた流れがゆるく、水深もあまりない用水路等で良く見かけますが、水深のある所や水の流れの速い農業用水や川の脇ではあまり見ません。 ただし、水深が無くても水は澄み、小魚がいっぱい泳ぎ回っています。 私が子供だった頃は、日本の何処へ行っても小川や田んぼの畦、その脇の用水路では、子ブナやハヤ、ドジョウがこんな風に沢山泳ぎ回っていたよなあと想い出すほどです。

このササゴイを、いつ行ってもまず間違いなく見ることが出来るのは、いずれもサニートの農園ですが、女性市長 Andrade さんの San Marcos、 Edgar Cordova さんの Santa Monica の二つです。他の農園でも見ることは出来ますが、運次第という要素が付きまといます。まずどうして Santa Monica 農園なのかと言いますと、ここは入って直ぐに堆肥場があり、そこを取り巻くようにサニート・バナナ園が続き、その中を小魚のいっぱいいる農業用水路が縦横に走り、農園で働く人達もオーナーの Cordova さんの意思を尊重して、野鳥たちを追わないからです。


Striated Heron(ササゴイ:Butorides Striatus)

サニートのSanta Monica 農園で。Mating Season なので雄の冠羽が逆立っています。

San Marcos 農園では何で、間違いなくササゴイが見られるかと言うと、ここには2箇所の貯水池、といってもまるで山の中の自然にできた池と言った方がぴったりするような用水池が、広大なバナナ園の中にある上に、10面以上のテラピアの養殖池があるからです。養魚場である以上、そこには稚魚から出荷される寸前までの、体長30センチ以上の成魚までがいますので、ミドリヤマセミ、クビワヤマセミ、マダラタイランチョウ、ダイサギ、ユキコサギ、ウ、ササゴイ等の Fish Eater 達にとっては、ちょっとやそっと驚かされた位では、立ち退けない程の楽天地なのです。

これらのとても賢い Fish Eater 達に悩まされた女性市長さんは、ある日、ドイツから雌雄の名犬ドーベルマンを輸入しました。「セニョール・イトウ、鉄砲(散弾銃)の玉が届く距離がわかってしまった鳥たち、特に大量の魚を食べる大型のサギ類を、追っ払おうと思って、ドーベルマンを2頭入れたのよ。最初のうちは、犬も大きな鳥たちを見ると興奮して、鳥達を追っ払ってくれたわ。でもね、まず雄のほうが一週間もしたら、飽きてしまって走らなくなってしまったのよ。ほんとに、オスってものは、人間も動物も、飽きっぽくって、怠け者なんだから。 だからうちでは、幹部職員は女の方が多いのよ。」と、また、いつもの、男性に対する辛口論評が始まったので、慌てて、私も聞き返しました。「セニョーラ、それで、メスの方は、その後どうしてますか。」「今、貴方の足元に寝そべって、頭を撫でて貰って、気持ち良さそうにしているでしょ。そう、オスの悪い影響で、このメスも鳥を追わなくなったのよ。」

そんな訳で、 San Marcos 農園は、今でも、水鳥たちの楽園だと言う訳です。