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No.50 Scrub Blackbird(Dives warszewiczi)

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Scrub Blackbird(Dives warszewiczi)"

Scrub Blackbird(Dives warszewiczi)

サニート農園Hda. Envidia。バナナの若木(草)の中で。

今回は50回目というキリの良いところなので、どの鳥をアップしようかと迷いました。バナナ園とその周辺で見られる鳥が主題ですので、バナナ園で見かけることはあっても、珍しい鳥では、なにか嘘っぽい感じが否めないというか、宣伝臭が強すぎる気もしないでもないし、そうかといって、日本の鳥好きに人気のあるミドリヤマセミはもう載せてしまったし、鷲鷹類でバナナを背景、或いは前景にしてピントが合っている写真は、掲載済みのSavanna Hawkしかないし、いろいろ考えた末、このScrub Blackbirdにしました。 ただ残念なことに、またしても、この鳥の和名が見つかりません。

エクアドールのバナナ園で頻繁に目にする黒い色の野鳥は、この鳥とSmooth-billed Ani(オオハシカッコウ)の二種です。遠くから見ると、この二つの鳥は似たような大きさで、真っ黒な羽の色をしているので、一瞬どちらかなあ、と迷うのですが、飛び立つと、飛び方が全く違うのですぐに分かります。オオハシカッコウは波状に飛翔し、ブラックバードは直線的に飛ぶからです。また、前者の飛翔距離は短く、すぐに近くの枝に止まりますが、後者はかなり遠くまで飛んで行ってしまいます。


Scrub Blackbird(Dives warszewiczi)

エナーノ農園Hda. Los Alamosで。

近くに寄れば、嘴の形が全く違うので、間違いようがありません。

ただし、鳴き声はMating Seasonになると、どちらもメロディアスで可愛らしく、澄んだ声で鳴きます。

この鳥は、だいたい何処へ行っても見ることが出来ますが、サニート農園では、ケヴェド(Quevedo)市の傍にあるHda. Envidia(エンヴィディア農園)、エナーノ農園ではグアヤキール市から100キロ程東南にあるHda. Los Alamos(ロス・アラモス農園)で最も多く目にするように思います。

4,000ヘクタール弱の面積を持つHda. Los Alamosでは、つい数年前まで、暴れ川リオ・カニャルに隣接する場所で有機栽培の実験農場を持っていましたので、野鳥の種類も多く、川の堤防の上に生えている喬木の梢にはいつも、なにかしらの鷹・隼類を見ることが出来ます。2000年7月に生協の代表の人達とその有機バナナ栽培実験場を視察に行った時は、ちょうど昼寝をしていた山猫(Jaguarundi:ジャグアルンディ)に気づかず、数メートルの所まで近づいて、山猫も人間もビックリしたこともありました。その時、山猫は物凄いスピードで私の脇を駆け抜けて行きましたので、慌ててカメラを構えたのですが、オート・フォーカスの速さを売り物にしているレンズ・カメラのセットでもシャッターが切れませんでした。