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No.49 Chapulete(トンボ)

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Chapulete(トンボ)"

Chapulete(トンボ)

Sr. Edgar Cordovaのサニート農園、堆肥場で。

四十年以上も毎年エクアドールに出張を繰り返していますが、未だトンボの図鑑を本屋さんで見たことがありません。野鳥、ラン、野草、蝶、魚、哺乳類、両生類、爬虫類などの図鑑は目にしますし、買って手元にありますが、トンボ図鑑はありませんので、この国のトンボの名前はまったくわかりません。ですから、日本のトンボの俗名を使ってこの項を書きます。

トンボの図鑑を見たことがないからと言って、エクアドール人の生活の中でトンボの存在がまったく欠落している、とか、意識されていないと言うことではありません。たとえば、二昔前までは地方都市に行くと、“Voy de Chapulete.”という言い回しを男同士でしていました。これは、「ちょっと、ガール・ハントにいってくるよ。」というような意味です。ただし、現在では大都市の若者達は、「えっ、そんな言い方があったなんて、知らないよ。」と言いますので、廃れてしまった表現のようです。

コスタ地帯で見るトンボは、雨季乾季を問わず一年中見ることが出来るのが、日本のアカネに良く似たもの、イトトンボ、シオカラトンボ(ムギワラトンボ)の色違いと言ったようなもので、ヤンマの種類は、見たことがありません。


Chapulete(トンボ)

Los Alamos農園の農業用水路の脇で。

雨季の終わりになると、日本の初秋のように、バナナ園の空間いっぱいにアカネの群れが飛び回ります。勿論、化学殺虫剤を大量に使うような所では,アカネの乱舞を見ることはできません。

ここに載せた、一見小型のヤンマのようなトンボは、日本のヤンマのように長い距離、或いは長い時間飛ぶことはありません。餌を捕るためにたびたび、飛び上がりますが、ムギワラトンボのように餌を捕まえると直ぐに止まって、羽を休めます。このトンボは、コスタの中部地区からペルーとの国境に至る南部地区までの広い地域でよく目にする種のひとつで、サイズはムギワラトンボとギンヤンマの中間ぐらいです。

イトトンボは、その棲息環境に適応した結果でしょう、 実に様々な羽の模様と、色彩のものを見ることができます。バード・ウォッチングで有名になった「Mindo」の谷を流れる、海抜1400メートル程の所にある清流の川原では、雨季に入ると、赤、紺、黄などの羽を持った美しいイトトンボを何種類か見ることができます。