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No.47 Siproeta Stelens & Caligo Idomeneus(イドメネウスフクロウチョウ)

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Siproeta Stelens & Caligo Idomeneus(イドメネウスフクロウチョウ)"

Siproeta Stelens(イドメネウスフクロウチョウ)

Bucayのオリート農園で。

今回、次回そしてその次と、3回にわたって、蝶とトンボの番外3編を載せるつもりです。 子供たちが夏休みに入っていますので、何かの息抜きにこのサイトを見て、「ああ、世界には未だこんな蝶やトンボもいるんだなあ。」と思ってくれればと思います。

エクアドールで、蝶・トンボが多いのは、気候条件上アマゾン地区とコスタ地区で、アンデス地区とガラパゴス諸島ではその種類が少なく、特にガラパゴスには少数の種類の蝶・トンボしかいません。 南米と聞いて、蝶に詳しい方が思い起こすのは、メタリック・ブルーに輝く、モルフォ蝶の種類だと 思います。農業の生産性を第一に追い続ける時代が長く続いた結果、ただし今でも、生態系の保全や清い水資源保護の重要性よりも、農産品の生産性向上と外貨獲得を優先させて、石油化学製品の大量使用が行われている地域が世界には多いのですが、その弊害から抜け出ることをいち早く模索し始めたエクアドールでも、一時蝶やトンボなどの昆虫そして魚類が減って、心ある市民を憂慮させたことがありました。まだ、昔のような状態に戻るには、長い時間を必要とするでしょう。豊かな水と豊穣な地力に恵まれた、熱帯性気候のコスタの自然復元力が人間が思うよりも早く、本来の生態系に近い状態を取り戻してくれることを期待します。

コスタ地区で、よく目にすることの多かった(過去形)モルフォ蝶はMorpho Rhetenorで、次回取り上げます。

Caligo Idomeneus(イドメネウスフクロウチョウ)

Sr. Ortegaのサニート農園でバナナの幹に止まっていたVaquita。
こういうポーズの写真を撮るのが一番簡単です。

Siproeta Stelensは、オリート農園の三大生産地域のひとつ、Bucay(ブカイ)地区でよく見ることができます。エクアドールの蝶愛好家の間では、この蝶に特別の思い入れがある人が多いようです。私がこの写真を撮ったのは、雨季の三月にオリート農園視察に行って、Mating Seasonに入っていたEcuadorian Thrushのメロディアスな囀りを聴きながら、ふと足元の草花に目をやった時でした。普通、蝶は羽の内側の方が、鮮やかなデザインと色彩をしているものなのですが、この蝶は羽を閉じた時の外側の方が派手なので、面白いものだなあと思いながらシャッターを切り続けました。

Caligo(フクロウチョウ)は、日本のカラスアゲハよりも大きく、幼虫(いもむし)の時、その大きな体でバナナの葉っぱをよく食べるため,バナナ農園主達に歓迎されることはありません。現地の農園関係者たちは、この蝶をVaquita(ヴァキータ)と呼びます。小さな牝牛という意味ですが、バナナの葉っぱをむしゃむしゃと食べる様からヴァキータと言うのかどうかははっきりしません。ヴァキータは、モルフォのように長時間とまること無く飛び続けるということが余りありませんので、写真は撮り易い蝶のひとつです。サニートや有機バナナ農園、或いは、化学殺虫剤の使用が著しく少ない、いわゆる減農薬栽培農園に行くと、簡単に見つけることができます。ただし、これらの農園でも大きな体のヴァキータの幼虫は見つけ易いので、見つけ次第、労働者が手や棒で取るように指示されています。