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No.46  Peruvian Meadowlark

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Peruvian Meadowlark (Sturnella Bellicosa)"

Peruvian Meadowlark (Sturnella Bellicosa)

牧場の杭の上で縄張りを主張していたペルーヴィアン・メドウラークの雄。胸の赤い羽色は一年中変わりません。

この鳥、ペルーヴィアン・メドウラーク (和名はまたしても見つかりません)は、一年中その姿を見ることが出来ますが、特に雨季に入って気温が高くなってくると、つまり夜間の最低気温が20度を切る事がなくなり、日中の最高気温が常に32度を超え(ただし38度を越えることは滅多にありませんが)、日本の盛夏のような高温多湿になると、 Mating Season が始まります。バナナ園の中や、山すそに開けた原、牧場、バナナ園の中に作られた小型機用の滑走路脇などで、雄は、高い草や潅木の先端に止まって、その派手な赤い胸を殊更に目立つように突き出して、独特な鳴き声で縄張りを主張します。その鳴き声が私の耳には、少し語尾上がりの「オッチョン、ジー」と聞こえるのです。最初にその声を聞いた時、日本で流行っていた韓国のポピュラー・ソングの歌詞の中で、「オッチョンジ」と言うフレーズが繰り返されていて、友人達がカラオケでいつもこの歌をリクエストしていたため、「伊藤さんの耳には、この鳥の鳴き声が『オッチョン・ジー』と聞こえるのでしょう」と言う仲間と、「いや、ほんとに私にも、そう聞こえますよ。」と言う仲間とに分かれています。私たちの仲間に在日の韓国の人がいますので、今度、彼に雨季のエクアドールに出張してもらって、この鳥の鳴き声がどんな風に聞こえるのか、感想を聞いてみたいと思っています。鳥の鳴き声は、ウグイスの「ホー・ホケキョー」を例外として、人や地方によってその表現が違っているケースが多いことは皆様のご存知の通りです。


Peruvian Meadowlark (Sturnella Bellicosa)

バナナの葉の上にいたメドウラークの雌。

植物の花が咲き、実を付けるこの時期は、昆虫も一気にその数を増やすので、雨季に Mating Season を迎える野鳥は、このメドウラークだけでなく、カマドドリ、多くのタイランチョウ、フウキンチョウなどバナナ園にやってくる鳥の殆どがそうです。ただし、ハチドリやミドリヤマセミなどは、乾季でも巣作り、子育てをしているようです。おそらくエクアドールでは、常に花を咲かせる植物がバナナを含めて幾つもあること、小魚がいつも沢山いて、乾季には水嵩が低くなり、水も透明度を増すので、ヤマセミを初めとする水鳥たちにとって、魚が捕り易くなるため、子育てをこの時期にしているのではないか思います。