マナ地区のオリート農園で。雨季の強い日差しの下で、嘴を開いて一休みしていたオオハチクイモドキ。 この嘴は、ヒロハシハチクイモドキのものと較べて、僅かに細く、より湾曲(Arched)しています。体つきも、オオハチクイモドキのほうがすこし大きめです。
このオオ・ハチクイモドキとヒロハシ・ハチクイモドキ(Broad−billed Motmot)はよく似ていて、バナナ園の中、周りの林や森、つまりフィールドで見つけたときに間違い易いので、素早くそして正確に見分けるには、慣れが必要とされます。
実は私も、テレ・レンズを通してカメラ(フィルム・カメラ)のファインダーで確認しないと、未だどちらなのか自信が持てないのです。
その理由は、どちらの野鳥も人間との接触を嫌ってか、サニート・バナナ農園やオリート農園の脇から広がる、人がほとんど入って来ない二次林や自然林の中へ入り込んでしまい、農道を歩いていてこの鳥を目にすることが、10年ほど前と較べると少なくなったからです。
それでも、マナ地区の奥にあるオリート農園へ行って、オリートの林の中や、脇の自然林の中を注意深く見ていると、この鳥を見つけることができます。ただし、そこへ行けば必ず見られると言うことではありません。もちろん三時間くらいの余裕を持って、この鳥がよく来るのだと農園の子供たちが教えてくれるスポットからちょっと離れた場所で、虫に刺されながら、そして次々にやってくるあまり人間を嫌がらない野鳥や蝶を撮影しながら待っていれば、まず写真に撮ることは可能だと思います。
オリート農園があるマナ地区で、谷底付近の枝に止まり休んでいるオオハチクイモドキ。
私たちの農園視察と言うのは、エナーノ農園の場合は、広さ200ヘクタールから4,000ヘクタール、サニート農園の場合、50〜200ヘクタールあるバナナ栽培地を四輪駆動車で 1 時間から2時間ぐらいで回るのが常ですので、珍しい、あるいはあまり今までシャッター・チャンスに恵まれなかった野鳥や動植物を見かける都度に、運転してくれている農園関係者に車を止めてもらってカメラを構えるわけです。ただし、サニート農園の場合は奥の手がありまして、1〜6ヘクタールぐらいの堆肥場で皆が堆肥作りの説明を受けている3、40分程の間、見学者の存在に慣れてきた野鳥が堆肥場に虫を食べに脇の林の中から戻って来るのを待って、ゆっくり撮影するのです。
オリートの場合は、そのほとんどがアンデス山麓に作られており、規模も2〜10ヘクタールくらいまでのささやかな広さの農園で、農道も人間や、犬猫、ロバ、ラバそして野生動物しか通らない細い踏み跡のようなところばかりですので、私たち農園見学者も徒歩で廻ります。私の他にも、自然に興味を持っている参加者が多いため、皆、静かに野鳥やセミなどの声を聞きながら歩きますから、野鳥の撮影もし易いのです。