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No.37 Bananaquit

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Bananaquit(マミジロミツドリ)"

Bananaquit(マミジロミツドリ)

オリートバナナの花の蜜を吸いにやってきたところ(サン・ミゲル農園にて)

この鳥は、日本のメジロよりも少し大きいぐらいです。動きはもっとこまかく、素早く、小刻みにバナナの葉の上や、小さな果指の先についている花から花へ上下左右に飛び跳ねる、と言った方がぴったりした表現です。ミツスイ科の鳥で、文字通り花の受粉を助ける役目を受け持っています。

花の蜜を吸って、結果的に受粉を助けるのはハチドリも同じですが、ハチドリはホヴァリングをしながら、頭を上に保ちつつ、嘴を花の中に差し入れて蜜を吸うのに対して、この鳥はホヴァリングが出来ない代わりに、写真にあるように頭を下に向けて動き回ることなどが得意のようです。ですから、よくバナナの長い房、私どもはこれを全房(ぜんぼう)と呼びますが、この全房をすっぽりと被せたポリエチレン・バッグの下の口から中に入り、小さな花の蜜を吸い回っています。鳴き声は、ハチドリのものとは違いますが、やはり、金属的で短い声で鳴き交わしています。

私の知っている限り、バナナの花の蜜を吸いに来る野鳥は、このマミジロミツドリとハイバラ・エメラルド・ハチドリの二種が圧倒的に多いと思います。蝶や蛾、そして蜂の仲間が受粉の手助けをしていることは、付け加える必要も無いでしょう。


Bananaquit(マミジロミツドリ)

雨が降ってきたのでバナナの葉の間に入って雨宿り。

頭と顔、そして羽の模様は、タイランチョウの多くの種類と似ているので、この鳥のことを良く知らない人がこのミツドリを始めて見ると、小型のタイランチョウだと錯覚しがちです。実は私も最初のころ、この鳥がミツスイの仲間だと言う事を知るまでは、タイランチョウの小型の仲間かと思っていました。

サニートや有機バナナ栽培農園、オリート農園に行くと、この鳥をよく目にします。ですから撮影するチャンスは比較的多いのですが、動きが速いので、この小鳥の動きのパターンに慣れるまでは、たとえオート・フォーカスでもちょっとてこずります。