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No.36 Anhinga

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Anhinga (アメリカヘビウ)"

Anhinga (アメリカヘビウ)

人造湖チョンゴンの岸辺の樹に止まって羽を乾かしていたAnhingaの雌。

三週続けて水鳥を取り上げるとはどんなものかなあ、とも思いましたが、結局この鳥にしました。ヘビウとはなんとも気の毒な名前を付けられたものだと思います。一度この鳥を自分の目で見たらわかりますが、と言っても、長い首から上を水面から出して泳いでいる姿ではなく、写真のような全身の姿を目にすると、見る者を圧倒するような存在感があります。

この写真を撮ったときに、初めてこの水鳥の全身を見ました。その妖艶とも映る、黒の礼服にショールを羽織ったような姿に、夢中でシャッターを切っていました。何かとても珍しい鳥の写真を撮っているつもりでしたが、日本に帰ってきて、ポジを見ながら図鑑を参照したら、これはアメリカヘビウの雌だということがわかりました。沼や池で泳いでいるときは、雄も雌も首から上だけしか見たことが無かったもので、てっきり別な種類の鳥を見たものだと錯覚していたのです。


Anhinga (アメリカヘビウ)

周りを山とサバンナに囲まれたチョンゴン湖は、いまでは、バード・ウオッチングの推奨スポットになっています。

ヘビウ、、、何かほかに良いネーミングは無かったのかなあ、とこの写真を見るたびに思います。かといって私は蛇が大嫌いという訳ではありませんが、好きという事もありません。私が子供のころの鎌倉は、今は住宅地になっているところはまだ田畑が広がっていました。現在はゴルフ場になっている、天園の裏山一帯には林や茅の原が広がり、その中には湧き水が作っていた小さな池があって、そこでは、シマドジョウやゲンゴローも捕まえることが出来たほどでした。そんな環境でしたので、ワンパクボウズである条件の一つは、カエルやヘビを手掴みできることでしたから、今でも普通の蛇を怖いとは思いません。では好きなのかと聞かれると、あまり好きではないというのが本音です。まして、エクアドールには、5メートル以上にもなるボアや、エキス、コラル等という猛毒を持つものもいますので、南米に頻繁に行くようになってからは、蛇に対する警戒感は非常に強いものになりました。まして水辺に近づくときはことさらです。そんな訳で、この鳥の名前にはどうしても違和感を持つのです。爬虫類好きな人々は、お前のように爬虫類に偏見を持つ者が多いから、爬虫類や両生類が虐待されるのだと言うのでしょうが。