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No.31  Crimson Finch

Photo & Text:Motoaki Itoh

"Crimson Finch(ヒムネシトド)"

Crimson Finch(ヒムネシトド)

他の野鳥たちと交代で、農園主が残して置いてくれた黄色いオリートを突っついていたCrimson Finch

この鳥を最初にマナ地区のオリート農園で、熟したオリートを他の野鳥とかわるがわる突っついているのを見たときは、 一瞬私の好きな鳥、 Euphonia (フウキンチョウ)の一種かと思ってしまいました。よく見ると頭の羽の色も背中の色と同じだし、尾の長さも違うので、出来上がってきたポジのスリーブをルーペでよく見て、図鑑をめくっているうちに、これは Crimson Finch と言う野鳥だとわかりました。

その次の出張でマナ地区へ行くと、やはり、この鳥が今度は草の上に放置されて黄色くなったオリートを Lemon-Rumped Tanager と一緒に突っついているのを目にしました。

その日の午後、 サニートのサン・マルコス農園へ行くと、堆肥場脇のかん木の中でこの鳥が動いていました。そこには熟したバナナも、オリートも無いので、何でここに居るのかなあと、不思議に思いました。その時はまだ、この鳥は Fruit-Eater だと決め込んでいたからです。


Crimson Finch(ヒムネシトド)

Chongon湖の岸辺に生えた野草の種子を食べていたCrimson Finch

その数日後、誘われて有機栽培マンゴ農園に行った帰り、 Represa de Chongon (チョンゴン・人造湖)の岸辺に造られた公園で水鳥の写真を撮っていると、あの Crimson Finch がイネ科の野草の種子を啄ばんでいました。そう、この鳥はどうやら雑食性だったようで、どうりで野草の種子が多いサン・マルコス農園にも何羽も居たのだなあ、と納得しました。

フィンチ類は穀物を食べるものが多いので、このヒムネシトドがイネ科の草の種子を食べていても当たり前なのに、この鳥が黄色くなったオリートを突っついているのを見た最初の印象があまりに強く記憶に残っていたため、正しい判断ができなかったようです。