梢での見張りを終えて、風のあたらない場所で、日向ぼっこ。羽毛を膨らましているのが分かりますか。
このハチドリの特徴をうまく表現している名称は、英語の方ではないかと個人的には思います。欲を言えば、どちらももうすこしピッタとこないのです。
また、カメラの腕の未熟さを棚に上げて、評論家のように言うのも変なのですが、ここに掲載した二枚の写真は、私がこのハチドリに対して持っているイメージは表現できていません。その理由の一つは、比較的私のイメージに近い写真は、この小さなハチドリが梢に真っ青なアンデス高原(標高2450メートル)の空を背景にしてとまっていたため、いろいろ露出を変えて撮ったのですが、どれもが空にひかれて、この小さな鳥は、修正不可能なくらい暗くなっていたのです。もう一つの理由、この方がもっと本質的な理由なのですが、このハチドリは飛んでいるとき、羽毛をピッタと体に密着させて、空気抵抗を最小限にしているようなのです。つまり枝に止まっているときは、保温のためか、体を大きく見せるためか、羽毛を膨らませているように見えます。
キト郊外の高級レストラン『Mirage』の庭園にて
最初にこのハチドリを見た時、それはまるで、大型のオニヤンマ(トンボ)が飛んでいるのかと思ったほどです。と言うのは、その二日前に、二年前に放映されたテレビ番組「ウルルン世界滞在記」でバナナ農園滞在体験の舞台にもなったサン・マルコス農園(サニート栽培)で、25センチ以上の巨大バッタがバナナの葉っぱで休んでいるのを、皆で大騒ぎをして見ていたからでした。30センチ近いバッタがいるのならば、そんなオニヤンマがいても不思議ではないと、一瞬思ってしまったからでした。実際、このハチドリが飛んでいる姿を目にすると、ほとんどの人は、「ほんとに、大きなオニヤンマが飛んでいるみたいですね。」と、言います。
そう、飛んでいるこの尾の長いハチドリを見た英語圏の学者は、機関車に牽引されている客車か貨車の列を連想したのでしょう。
このハチドリに会うには、朝 8 時ちょっとに、キトーの赤道記念碑を囲んでいる公園を歩くことを薦めます。非常に縄張り意識の強い鳥ですから、ライバルの鳥が近ずくとかならず、飛び立って行きますので、見つけやすいと思います。