サニート・バナナ農園で、バナナを運ぶケーブルで羽を休めているハチドリ。
ラテン・アメリカの野鳥と言われたとき、バーダーがまず頭に浮かべるのは、色鮮やかなインコやオオム、或いは、オオハシ、チュウハシと和訳されているTucanの仲間ではないかと思います。また、人によっては、コバルト・ブルーに輝くハチドリかもしれません。
その意味からも、エクアドールの野鳥について書くとき、欠かすことのできない鳥の一つが、ハチドリ。英語で"Humming Bird"、スペイン語で"Picaflor(花を突っつく鳥)"、エクアドールでは、"Colibri(コリブリ)"と呼ばれています。
ハチドリについては、世界中のマスコミが今迄に数々の素晴らしい本、図鑑、TVプログラム、ヴィデオ・テープ等で紹介していますので、野鳥に興味を持っていられる方は、この鳥のことは十分ご存知だと思います。エクアドールにも、実に多くのハチドリの変種、亜種が居り、そして、その一つ一つが、外見上、僅かな違いしか無いものが少なくありませんので、図鑑をみても、私のようなアマチュアには、種類の特定が出来ないものが、かなり有って困ります。また、図鑑に載っていないものも多いのです。私は、エクアドール、コロンビア、ペルーの3カ国の野鳥図鑑を見較べて、似たものを見つけている次第です。
オリート・農園で、農園主が、趣味で植えた観賞用バナナの花の蜜を吸っていたハチドリ。
今週と、来週、再来週の3回は、バナナ園で最も目に付くハチドリ、アンデス西山麓の海抜1700メートルの所にある蘭園でしか見たことの無いハチドリ、そして、アンデス高地の2450メートルの所にある赤道記念碑の公園でいつも目にする尾のとても長い、ハチドリの3種の写真を見ていただくつもりです。バナナの花の蜜を吸うハチドリは限定されているのでしょうか、バナナ園では、この鳥の他には余り目にしません。
今回のハチドリ、Rufous-Tailed Hummingbirdは体が小さく、化学薬品をとても嫌いますので、サニート農園、有機栽培農園、あるいは、オリート農園以外の農園ではあまり見かけません。金属的で、鋭く短い鳴き声を耳にすることができても、動きが非常にすばしっこく、また、同じ花に長く留まってはいませんから、その姿を目視するのは簡単ではありません。バナナ農園視察に参加してくれる仲間には、「ほらっ、聞こえるでしょ。この金属的で、短い鳴き声。ハチドリがバナナの花の蜜を吸っているんですよ。」といった説明ばかりしています。運が良い時には、写真が撮れますが、「ここだっ。」と言う瞬間にシャッターがきれることは、私の未熟な腕ではまだ無理です。置きピンをして待っていれば、撮れるのでしょうが、グループでバナナ園を歩き回る産地視察では、そうもしていられません。