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No.20 Magnificent Frigatebird

Photo & Text:Motoaki Itoh

Magnificent Frigatebird

Magnificent Frigatebird

巣も作って、雌が上を飛ぶたびに、のど袋をふくらまし、羽を大きく打ち震わせて、一生懸命アピールしたのに、まだパートナーが決まらず、ガラパゴスの刺すような直射日光の下で、疲れたような雄。

なぜガラパゴス諸島がバナナと関係があるのかは、ネッタイチョウのところで説明しました。

ここに載せた写真はガラパゴスで撮ったものですが、グンカンチョウは、エクアドールの海岸地帯ではよく見られる鳥です。エル・オロ州でも、無人島のサンタ・クララ島で営巣していましたが、今は島の周りで天然ガスを掘り始めましたので、あの島でまだ繁殖しているかどうかは分かりません。

この鳥は、海岸線からあまり陸地の奥には飛んで来ませんが、2・3年前まではちょくちょく海岸に近いバナナ園で、この鳥が頭上を飛んで行くのを見ることがありました。はじめのうちは、「風の関係で飛んできたのかなあ。」と簡単に考えていましたが、7年前に初めて大規模な海老の養殖場を見学したときに、その理由がわかりました。グンカンチョウは、養殖場の海老を餌にしていたのです。マングローブ林を潰して作った養殖場には、カモメ、ヤマセミ、サギ、アジサシなど多くの水鳥が集まってきます。これらの鳥の上前をはねていたという訳です。


Magnificent Frigatebird

やっと、苦労して作った巣の脇に雌が来てくれたので、必死にのど袋を膨らまして格好の良いところを披露しているオス。

エクアドールでは、アンデス山脈の山裾からオリートの栽培が始まり、カカオ農園とバナナ園が続き、平地の地下水が高くないところではバナナ栽培が行われ、地下水が高く、湿地に近いような所では、牛の放牧や水稲の栽培が行われます。それから海岸線までは、海老の養殖場が続くのです。つまり、海老養殖はバナナ園の隣で営まれているのです。そのため、バナナ園にとっても、水田にとっても、あるいは海老の養殖場にとっても、水を汚染すること、特に化学物質で汚染することは、タブーなのです。ちなみに、エクアドールの外貨稼ぎランキングは、1位石油、2位バナナ、3位海老、4位バラ(花)となっています。