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No.176 Glossy Flowerpiercer

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、"Glossy Flowerpiercer (和名:アオカタハナサシミツドリ 学名: Diglossa lafresnayii)"です。

Glossy Flowerpiercer (和名:アオカタハナサシミツドリ 学名: Diglossa lafresnayii)

ハチドリ用のフィーダーにやって来てネクターを吸っていたアオカタハナサシミツドリ。この黒い小鳥はとても可愛らしく、愛嬌があるように思うのですが。

暫くぶりに、アンデス西山脈、海抜3500Mの所に在るYanacochaで撮った野鳥を扱う事にしました。 このハナサシミツドリは、ベネズェラの西(アンデス山脈の起点)からコロンビア、エクァドールを経てペルー北部までのアンデスの西山脈と東山脈両方の、海抜2700メートルから3500メートル位までの森林地帯に棲息しています。このアオカタハナサシミツドリに良く似た野鳥は、これを含めて3種おり、まず、翼に白い羽毛があるWhite-sided Flowerpiercer (ワキジロハナサシミツドリ)、そして全身が真っ黒な羽のBlack Flowerpiercer(クロハナサシミツドリ)で、何れもアンデス高地で見られます。私もこれら3種の野鳥を見ていますが、写真が撮れたのは今回のアオカタと、これを撮ったYanacochaからは車だと小一時間で行かれる(ただし途中で車を止めて道路脇で鳥見をする時間を含まず)、海抜2200メートルの所にあるBella Vistaで撮ったワキジロハナサシミツドリの2種だけです。


Glossy Flowerpiercer (和名:アオカタハナサシミツドリ 学名: Diglossa lafresnayii)

ホクシャの花の蜜を吸っていたアオカタハナサシミツドリ。アンデス西山麓のMindo-Nambillo(ミンド・ナンビージョ)地区の高い所にはホクシャの仲間が多く見られます。

この写真を撮ったのは、ヤリハシハチドリをはじめ、Tyrian Metaltail(エメラルドテリオハチドリ)、Buff-winged Starfrontlet(モンツキインカハチドリ)、Great Sapphirewing(ルリハチドリ)等、前回の訪問では、夕暮れ時と霧雨ぎみの濃霧に影響されて、光が全く足りない状態で遅いシャッターを切らざるを得なかったので、今度は日中の光の下で撮ろうと午前中にYanacochaへ行った時でした。このときは前にも書きましたように、海抜2850メートルの首都キートのスイスホテルに2泊していたため、充分に高地順応も出来ており、3500メートルの山道往復4キロ強も少々息苦しかったものの、天候にも恵まれたせいか、まあ順調に歩けました。ただ、驚いたのは当然なことなのですが、明るい日の光の下で撮ったハチドリ達の羽色の輝きが全く違い、前回の写真と較べると、まるで他の種のハチドリを撮っているのではないかと思うほどでした。野鳥を見たり、撮ったり、深呼吸を繰り返し、また繰り返し、アンデス西山麓の景色を楽しみながら、一番奥にあるフィーダーの所までやって来て、ヤリハシハチドリの写真を陽光の下で撮りました。一緒に行った息子にも、この嘴が異常に長いハチドリを見せてほっとしていたとき、ガイドさんのDannyが3メートルくらい離れた所にあるフィーダーを指差して、Glossy Flowerpiercerが来ていることを教えてくれました。その前に来たときにはこの鳥を見ていなかったので、喜んでカメラを向け、レンズ越しに見てみると、顎の下(さい)に傷があるようだったので、再度良く見ると、それは羽が抜けて地肌が見えているのではなく、この鳥の特徴のようでした。