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No.165 Greater Flamingo

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、"Greater Flamingo (和名:ベニイロフラミンゴ 学名:Phoenicopterus ruber)"です。

Greater Flamingo (和名:ベニイロフラミンゴ 学名:Phoenicopterus ruber)

マングローブが茂るバーチャ・ビーチの干潟をゆっくりと歩いていたベニフラミンゴ。

今回も前回に続いてガラパゴスの鳥を掲載します。ただ、この鳥の和名に関してはまたも分かりにくい問題に出くわしました。どうやら、ベニフラミンゴというのとオオフラミンゴというのと二つあるようです。学名は一つなのですが。大陸のエクァドールにはChilean Flamingo (和名チリーフラミンゴ:学名Phoenicopterus chilensis)が同国最西端サンタ・エレナ半島周辺の干潟で見られますが、浅学にしてこの二種のフラミンゴが生物学ではどのような系統関係にあるのかは知りません。

第102回の所でも触れたのですが、どういう巡り合わせか、十数年前に今回も訪れたサンタ・クルス島の“Playa de Bacha(バーチャ・ビーチ)”でフラミンゴを見てから何回か同じ干潟を訪れたことがあったのですが、フラミンゴを見ることが出来ず、写真も撮れませんでした。もうガラパゴスでフラミンゴを撮影することは半分諦めていたのですが、この休暇で一緒に行った妻が「ガラパゴスではフラミンゴが見たいの。」と言っていたので、Jackの旅行代理店Scuba Iguanaにその希望を日本出発前から伝えてはいたものの、実際に見られるかどうか自信はありませんでした。手配してくれていた乗り合い観光船“Santa Fe 2号”は、かつてこの船がチャーター船として運航されていたときは、我々バナナ関係者を何回も島々に案内してくれていたので、船長もコックも顔見知りで、乗船した時から何かツキがあるように感じていました。その日の観光はNorth Seymour島でグンカンチョウとアオアシカツオドリを見るのがメインだったのですが、潮の都合でアオアシカツオドリはまだ営巣をしていず、グンカンチョウの雛達はもうかなり成長しており、喉袋を真っ赤に膨らませて番になる相手をまだ探している雄はパラパラとしか目に付かない有様で、ちょっと悪い予感を感じ始めていました。それでも、この島の北の一角に住み着いているアカアシカツオドリが飛んで来てくれたので、捨てたものではないかと、気を持ち直してNorth Seymourを後にしました。

Greater Flamingo (和名:ベニイロフラミンゴ 学名:Phoenicopterus ruber)

砂浜に腰を下ろしているのが、私達夫婦とガイドさんの三人だけになったからか、こちらの岸辺にも近づいて来たベニフラミンゴの番。

ビーチに近づいた船から、船外機付きゴムボートに乗り換えて真っ白な砂浜に上陸しますが、ガイドさんからは、くれぐれも小石が置かれた観光客用の歩行区域から踏み出さないように、と注意を受けます。それは、その細い道(?)だけはアオウミガメの卵が埋まっていないことが確認されているからです。小さな砂丘を越えたとき、目の前の干潟に一番のベニフラミンゴが悠然と歩いているのが目に入りました。他の観光客は10分もすると飽きてしまって他所へ行ってしまったので、私達夫婦とガイドさんのルイス君の三人だけが白い砂の上に腰を下ろして、40分程もフラミンゴを見たり写真を撮ったりしていました。

話は逸れますが、最近ガラパゴスを訪れる観光客の中にはクルーズ船に乗って決められたスケジュールで島巡りをするよりも、サンタ・クルス島の気の利いたホテルにゆっくりと滞在して、気が向いたときに乗合船に乗って、そのとき行きたい島を訪れるといった様な旅行をするのが盛んになって来ています。乗り合い観光船には専属のガイドさんが乗船していますが、足腰にあまり自信のない人、私のように下手な鉄砲も数撃ちゃ・・といったスタイルでシャッターを押し捲りグループの行動には付いて行けない人間は、専属のガイドさんを米ドルで80から120位の日当と、ガイドさんの乗船料一日約80ドルを払って、同行して貰うのがお勧めです。