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No.147 Masked Flower-piercer

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、"Masked Flower-piercer(カオグロハナサシミツドリ:Diglossopis cyanea)"です。

Masked Flower-piercer(カオグロハナサシミツドリ:Diglossopis cyanea)

Bella Vistaのハチドリ用のフィーダー目当てに樹冠部から降りて来たMasked Flower-piercer(カオグロハナサシミツドリ)。

La Costa(海岸地帯)のバナナ園内と周辺の野鳥、そしてアンデス西山麓のハチドリばかりを取り上げて来たので、ここでアンデス西山麓に広がるMindo-Nambillo地区のハチドリ以外の野鳥2種とLa Costaでも、乾燥地帯に棲息し、バナナ園の回りでも種子類が乾季に実るような環境の所では見ることもあるSeed eater(穀食鳥)を取り上げることにしました。「ハチドリやオオハシ、チュウハシ、インコだけがエクァドールの見映えのする派手目の鳥ではないよ。忘れないで。」と言われている様な気がしてならないものですから、姿形は普通種(?)で羽の模様が目立つ鳥を三回にわたり連載します。


Masked Flower-piercer(カオグロハナサシミツドリ:Diglossopis cyanea)

フィーダーのネクターを飲んで一息ついて、周りを飛び回るハチドリを気にしていたMasked Flower-piercer(カオグロハナサシミツドリ)。

一番バッターのMasked Flower-piercer(カオグロハナサシミツドリ)はエクァドールで観察される約140種ほどのフウキンチョウの中でも、高地に最も適応した種の一つだそうで、大体、海抜2400から3500メートルくらいの亜高山、高山樹林帯の樹冠部を棲息圏にしていると説明されました。ここで載せた2葉の写真は、Tandayapa Bird Lodgeから車で30分弱の海抜2200メートルのところにある、Bella Vistaのホスタルの庭(?)に吊るしてあるハチドリ用のフィーダーにやって来たところを撮ったものです。この場所は去る3月、4月の出張の折に週末を利用して2度訪れましたが、どちらのときもこのMasked Flower-piercerは姿を見せてくれました。ここは第144回掲載のCollared Incaを撮った所で、初めて訪問したときは落ち着いてシャッターを切ることが出来ましたが、二度目はこの鳥や他の野鳥をじっくりと撮ろうと心に決めていたのですが、ちょうど、このフウキンチョウがフィーダーに降りて来てシャターを押し始めたとき、ホスタルのアメリカ人オーナーが「道路の上の方で今、従業員が6羽ほどのPlate-mountain Toucan(イタハシヤマオオハシ)が来ていると知らせてきたから、急いで行きなさい。」と言ってくれたので、すぐまた戻って来る心算でダニーと同道していた私の息子、そして少し前に知り合った、私と同じカメラ・レンズのセットを持ったアメリカ人のフォトグラファーとそのガイドさん達と山道を登って行きました。イタハシヤマオオハシは私たちを警戒して、落ち着いて一箇所で木の実を食べ続けることをせず、私達がある距離まで近づくと、さっと飛び立ち、どんどん森の上の方へ移動して行ってしまい、気が付いた時はホスタルからもう1キロ以上も離れていました。ホスタルに宿を取っていたアメリカ人は諦めて戻って行きましたが、私達はBella Vistaに戻らず次の目的地Mindoへ車を進めました。そんな訳で二度目のBella Vista訪問ではこのカオグロハナサシミツドリに出会いながらまともな写真は撮れませんでした。付け加えますと、一生懸命撮りに行ったオオハシは、心が上の空だったのか、鳥が木立の暗い所を移動していたのに、ISOの感度設定をもう一段上げるのを忘れていたため、シャッター・スピードが1/30しか出ていないことを確認しなかったという初歩的なミスを犯して、望遠レンズの手ぶれ防止装置が作動していても、まともな写真は撮れませんでした。それでも、次の目的地Mindoでは満足する写真が何枚も撮れたので、それはそれで良しとするかと気持ちを切り替えて宿泊地のQuito(キート)へ戻りました。