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No.145 Brown Inca

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、"Brown Inca (和名:チャイロインカハチドリ 学名:Coeligena wilsoni)"です。

Brown Inca (和名:チャイロインカハチドリ 学名:Coeligena wilsoni)

Tandayapa Valley Lodgeのフィーダーにやって来たBrown Inca。緑や青の羽毛を持ったハチドリが圧倒的に多いこの場所では、茶色いハチドリがやって来ると、逆に直ぐ気が付きます。

今回取り上げたBrown Incaはコロンビア南西部とエクァドールのアンデス西山麓にしか棲息していないようで、私が未だ撮っていないBronzy Inca(ブロンズインカハチドリ)がヴェネズエラからボリヴィアまでの広い棲息地域を持っているのとは対照的です。バナナの仕事をしていると、栽培地がLa Costa(海岸地帯)に限定されされているため、私達が農園視察をしたあと宿泊する町は、ほとんどLa CostaにあるGuayaquil(グァヤキール)で、南はMachala(マチャラ)、中部のQuevedo(ケヴェド)、そして北は、頭髪から脚部まで体中にアチョーテと呼ばれる樹液を塗って真っ赤に化粧することで有名なコロラド族が住んでいるSanto Domingo de Colorado(サント・ドミンゴ・デ・コロラド)かConcordia(コンコルディア)、たまに足を伸ばしてMindo(ミンド)となります。日程の都合で、土日を何処かで過ごさねばならないときは、アンデスのQuito(キート)か、グァヤキールから1時間半のフライトで行けるガラパゴス諸島まで行くこともあります。なぜアマゾンが入っていないのかという理由は、アマゾン観光が手軽になってきたのは未だ10年ちょっとしか経っていないことにあります。南域がペルーとの数十年に亘る国境紛争で戦争地帯だったため、初期の観光地域はコロンビアとの国境に近いアマゾン川支流Rio Aguaricoの沿岸にあったのですが、欧米の観光客達が越境してきたゲリラに拉致されて国際的な問題になり、その後エクァドールのアマゾン・エコツアー開発に熱心な人達は、ゲリラに悩まされず戦争地帯とは遠いアンデス東山麓のアマゾン川源流地帯、同国の中央部に基地を作り始めました。 ちょうど、ペルーとの国境紛争も解決し、それと同時進行するような形でエクァドール国内の道路網拡充とその舗装整備が急激に推し進められ、車を利用して短時間でアンデス東山麓や、そこから車で数時間で行けるアマゾン源流部へのバード・ウォッチングが可能になったという次第です。また、そのための施設も次々に作られています。そんな訳で、今日までバナナの仲間をアンデス東部のアマゾンの入り口へ連れて行く機会はありませんでした。アンデス東山麓やアマゾンの源流部周辺では、Mindo-Nambillo地区とは違った動植物が見られるし、交通の便も非常に良くなったので、近いうちに行ってみたいと思っています。何よりも、私がよく読ませていただいているコスタ・リカ在住バーダーの方のホーム・ページ上に、東山麓から少し行ったところでHarpy Eagle(オオギワシ)を見たどころか、その子育ての状況も観察したと書かれているのを読んで、アンデス東山麓の熱帯雨林訪問の気持ちが強くなりました。

Brown Inca (和名:チャイロインカハチドリ 学名:Coeligena wilsoni)

海岸地帯へのハイ・ウェイ脇で、Mindo Lomaに建てられたレストランのフィーダーにやって来たBrown Inca。

話がちょっと横道にそれましたが、このBrown Incaは見てのとおり、メタリックな青や緑に輝く小鳥が多い他のハチドリ達と比べるとかなり地味ですが、この鳥も、見る者が正対し、光が当たればアメジスト色に輝く羽毛が喉の下に見られるそうです。残念ながら私は未だそのような状況下でシャッターを切るチャンスに恵まれたことはありません。このハチドリは海抜1750メートル強にあるTandayapa Bird Lodgeや、1600メートル位の高さに位置するMindo Lomaと呼ばれるMindoの谷へ降りて行く手前の尾根に作られた幾つかのレストランの庭でよく目にすることが出来ます。このハチドリに一見よく似ているけれども、もう少し派手なBrown Violetear(チャイロハチドリ)は、この尾根はもちろん、さらに200メートル程下がってMindoの谷へ行くとより頻繁に目にします。