バナナ園の野鳥と生き物 = バックナンバー =


No.140 Red-masked Parakeet&Pacific Parrotlet

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、"Red-masked Parakeet (オナガアカボウシインコ:Aratinga erythrogenys) & Pacific Parrotlet(マメルリハインコ:Forpus coelestis)"です。

Red-masked Parakeet (オナガアカボウシインコ:Aratinga erythrogenys)

自然保護区“Cerro Blanco”で、樹冠部を動き回っていたRed-masked Parakeet。どの写真もいわゆる枝被りになっていましたが。

今回もインコ類で、Guayaquil (グァヤキール)市西方16キロの処にある自然保護区“Cerro Blanco(白い山塊)”で去る1月に撮ったRed-masked Parakeetと、グァヤキール市東方50キロにある、Frushi groupのバナナ園“San Fermin”で同じく1月の出張の折に撮ったPacific Parrotletです。Red-masked Parakeetの方は今日バナナ園内で見掛けることは、サニート農園であれ、通常(慣行)栽培のバナナ園であれ、まずよほどの幸運に恵まれない限りほとんどありません。ただ、サニート農園や有機栽培バナナ農園にかなり大きな森や二次林が隣接している場合は、目にすることはありますが、この鳥がCanopy(樹冠部)にいることが多いため、なかなかその姿をはっきり見ることはありません。大概の場合は、このインコの存在にさえ気づかずにその下を通り過ぎてしまうでしょう。一方、Pacific Parrotletは以前にも、第15回で掲載していますが、ここ数年、減農薬栽培、有機栽培などの農園がLa Costa(海岸地帯)でゆっくりとではありますが増えて来るにつれ、その生息数を増やしているように思います。大体、インコ類は騒々しい野鳥ですが、特にこのインコは体が小さい割によく通る声で鳴き続ける上に、何よりも群れを構成する固体の数が多いので、他の野鳥、フウキンチョウやタイランチョウがそこここで鳴いていても、すぐにPacific Parrotletがやって来たのが分かります。

Red-masked Parakeetを撮った日はCerro Blancoに登り、125回に載せたEcuadorian Trogon、White-tailed Jay、 Streak-headed Wood-Creeper、 Southern Yellow-Grosbeakなどの写真が撮れたので私なりにかなり満足して下山し、管理事務所の脇にあるGreat Green Macawのリハビリ施設を見学して、ボランティアのガイドさん達と登山口にある質素なコーヒー・ショップでコーラなどを飲みながら、Cerro Blanco-Chongon-Machalillaに至る海岸山脈やそこに棲む鷲鷹をはじめとする野鳥や猫科の野獣、ピューマ、ヤグァルンディ、オセロットなどの説明を聞いていました。“Ahi, estan los pericos carretirojos (Red-masked Parakeet がそこに来ているよ。)”と、コーヒー・ショップの、私と似たような年恰好のオバチャンが親切に教えてくれたので、脇に置いてあった一脚にセットしたデジ一眼を取って小川の岸に生えている果樹の根元に急ぎました。そこでは、成鳥や若鳥からなる15羽ほどの群れが、夕焼けが始まる空をバックに夢中で、多分原種のアボガドだと思いますが、木の実を食べているのが目に入りました。急いで何回かシャッターを切っているうちに、群れは次の場所へ飛んで行ってしまったので、もっと落ち着いて写真を撮りたかったなあ、と今でも想い出します。若鳥というか幼鳥は成長するまでは頭部の赤い色が出ていないので識別できます。

Pacific Parrotlet(マメルリハインコ:Forpus coelestis)

Frushi Groupの“San Fermin”農園で、新植のバナナの若葉を牛から守るために設けられた有刺鉄線の柵の所で騒いでいたPacific Parrotlet.の群れ。

Pacific Parrotletの写真を撮ったのは、新品種のバナナに植え替えをしたばかりの“San Fermin”農園の中を小型四輪駆動車で走っていた時でした。進行方向50メートルほど先の小川の上に架かっている電線にRinged Kingfisher(クビワヤマセミ)が止まっているのが見えたので、車を止めて貰い、エンジンを切って、まず2回シャッターを車内で切ってから外に出たのですが、何故かとても神経質になっていたヤマセミは飛んで行ってしまい、がっかりした私の耳にPacific Parrotletの騒がしい鳴き声が聞こえてきました。よく見ると、車の反対側の有刺鉄線に3, 40羽のインコ達が群れて騒いでいるのが目に入りました。雨季の到来が一月も遅れていたので、ちょうどMating Seasonに入っていたようで、雄達は一生懸命に雌達の前でディスプレイをしていました。この農園“San Fermin”は一年程前までは、サニート・バナナ農園だったのですが、農園の一部が砂礫質の土壌であったことと、肥培管理に手違いがあったため、生産量が極端に落ち、農園管理者がその期を利用して新種のバナナに植え替えることにしました。もともと化学物質の使用が極端に抑えられていたため、野鳥、魚、昆虫、小型の獣などがよく見られる所です。また、何で有刺鉄線かと言うと、殺虫剤、除草剤を使用していない農園では、バナナの若葉は牛達の大好物で、彼らが入り込めないようにして置かないと、バナナ園が目茶目茶にされてしまうからです。