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No.14 Snail Kite(タニシトビ)

Photo & Text:Motoaki Itoh

Snail Kite(タニシトビ)

Snail Kite(タニシトビ)

Snail Kite Macho(タニシトビ/成鳥・オス)エナーノ農園にて。食事の後、満足げに。

この鳥も、前回の、サンカノゴイの仲間と同じように、エクアドールのレッド・データ・ブックの中で、"Vulnerable"に指定されています。私が最初にエクアドールに行った1963年から1968年にかけては、まだ、もっと多くのSnail Kiteが群れていたように思います。

エクアドールの野鳥研究家によると、40年も昔でなくとも、200羽ほどの群れを見ることもあったようですが、今では、見られるのは10羽から15羽の群れが普通のようです。

その最大の原因は、やはり、淡水湿地(Wet−land)帯の減少です。

私どものバナナ農園でも、用水路や農園内の湿地で、よくこの鳶の仲間を見かけます。


Snail Kite(タニシトビ)

Snail Kite Juvenil(タニシトビ/若鳥)サニート農園にて。食事中を邪魔されておかんむり?

Snail(=タニシ・カタツムリ)Kiteと英語で呼ばれるように、この鳥はタニシの類の巻貝を餌にしているのは知っていましたので、農園の責任者に「この鳥は、鼠も食べてくれるので、我々にとっては大事な鳥なんだよ。」と言われたときは、その言葉が信じられませんでした。

レッド・データ・ブックを読んで、湿地帯の減少がこの鳥の食性を変えてきたのだ、と言うことを知り、とても切なくなったのを思い出します。今ではタニシのほか、小魚やザリガニ、川海老などを餌にしているそうです。

ハイウェーを走っていると、この鳥がRinged Kingfisherと電線に並んで、下の水田や沼を見ているのをよく目にします。本来は、小魚を主食にしているヤマセミと、タニシを主食にしているSnail Kiteは競合しなかったので、今でもその習性が互いに残っているのでしょうか。