Mindoのレストランの庭先に植えてあるオレンジの枝に止まっていたGreen-crowned Woodnymph。
この二葉の写真はMindo町にある、中年のご夫婦が経営している倹しいけれど、バーダーにとってはある意味では、理想的なレストランで撮ったものです。このレストランは、いつも私を案内してくれる大学生のバーダーで野鳥ガイドをしているDannyが連れて行ってくれた所で、なによりも有難いのは、海抜1400メートルに位置する緑の森の中にあるから、ガラスで外気を遮断して冷房をかけなくてもよいため、多分そんな金の掛かる事は考えてもいないでしょうが、食事をしながらでも窓辺に吊るしてある5個のフィーダーにやって来るハチドリ達をガラス越しでなく撮影できることです。さらに、ここはキートから海岸地帯に至る主要街道から6キロメートルほど谷の道を降らなければならない所にあるため、ハイウェイ沿いに点在する、ちょっと洒落たレストラン等のように、advanced amateurあるいは日本でハイアマと呼ばれる欧米からのアマチュアの写真愛好家達が頻繁に来ませんので、2メートルとは離れていない至近距離からでさえ外付けのフラッシュをたいて野鳥の撮影をするような、自然愛好家とは呼びたくない非常識なカメラメンやカメラウーメンの嫌な姿を目にしなくてよいことです。
海抜1800メートルのTandayapa、 2200メートルにあるBella Vista、1400メートルのMindoではそれぞれ、少しずつ違った種のハチドリを見ることができます。中にはBooted Racket-Tail(第122回掲載)のようにその3箇所のどこへ行っても見られる鳥もいますが、当然目にする頻度は場所によって異なります。例えば、Booted Racket-TailとViolet-Tailed Sylph(前回掲載)を最も頻繁に見ることが出来、撮影も容易なのはTandayapa Bird Lodgeだと思いますが、このGreen-crowned WoodnymphはMindoなどより低いLa Costa地域に生息しているせいか、この3箇所の中ではMindo以外ではあまり目にしません。私などは、鮮やかな緑と紫色や青に輝くこのハチドリがとても好きなのですが、Dannyの話では、他のバーダーには余り人気がある方では無いようです。確かにフィールドで初めて見た時は、メタリック・グリーンに輝く頭部から胸部に掛けての印象が非常に強いため、腹部や背中の紫と青い部分には気が付かず、ホテルに帰って画像をメディアからストーレィジに移す際に、「おやっ、綺麗な紫とコバルト・ブルーがあるんだ。」と、独りごとを言った程でした。ですから多分、多くのバーダーはこの鳥を緑色一色のハチドリだと勘違いしているのではないかと思います。ただ一つ言えることは、ハチドリ達はほんの数種類を除いては、皆、鮮やかな色彩に輝いて目に映るため、個々の好みも分散するのかもしれません。
同じ場所で撮ったもの。Green-Crowned Woodnymphは、ここの主のように振舞っているWhite-necked Jacobinと違って、あまりフィーダーには近寄りません。あるいは、他のハチドリ達に遠慮しているのかも知れませんが。
活火山Pichincha(ピチンチャ)の西山麓に広がるMindo-Nambillo地区の凄いところは、キートに泊まってバード・ウォッチングをしても、上記の3箇所を一日で無理をせずに廻れる点だと思います。コスタリカやエクァドールで野鳥の案内をしているプロの方が付いてくれたら、3箇所でハチドリだけで30種を見ることはちっとも難しくなく、多分、その内20種はカメラに収められるでしょう。高山病に対して自信がある方は、翌日、海抜3400メートルのYanacochaを訪ねるのも良いかと思いますが、Sword-billed Hummingbird(第124回掲載)のところでも書きましたが、ある程度高度順応が出来て、天気に恵まれないと、アンデスの3400〜3500メートルは伊達ではありません。先月もYanacochaを二度目に訪れたのですが、その時は2850メートルのキートに2泊してから3日目の午前中に行ったのと、天気に恵まれ、気温も10度近かったので初めて行った時よりはずっと楽でしたが、海抜3500メートルの高地で呼吸を止めてシャッターを切り続けるのは一仕事でした。切り続ける、と書いたのは、ハチドリや他の魅力的な野鳥が次々と現れるからです。そしてこの高地では、前記の3箇所で見ることのなかった数種のハチドリを新たに見ることが出来るでしょう。