バナナの鮮やかな緑の葉をバックに空色のBlue-gray Tanagerが撮れました。
今回から3回続けて、過去に取り上げた、バナナ園の中でよく見られ、私がもう一度扱ってみたい野鳥で、私にとってはこんな姿がバナナ園へやって来る野鳥達を象徴する写真じゃないかなあ、と思うものを扱わせていただきます。「同じ鳥かあ。」という声も聞こえそうで気もひけるのですが。3種の野鳥は、それぞれ果実を主として餌とするもの、魚を餌とするもの、虫を餌とするもので、Blue-Gray Tanager(ソライロフウキンチョウ 第33回掲載)、Green Kingfisher(ミドリヤマセミ 第4回)、 Blue-Crowned Motmot(ハチクイモドキ 第8回)で、6枚の写真は前回1月の出張の時に撮ったものです。今年は日本だけではなく、世界的に天候不順だと報道されていますが、ここエクァドールも例外ではなく、例年ですと雨が降り始めるクリスマスになっても雨が降らず、1月26日になって、やっと本来の雨季らしい雨が降り出しました。そのため、この6枚の中でGreen Kingfisherの1枚だけが小雨の中で撮った物ですが、残りの5枚は、乾季のバナナ園で撮ったものと同じ様な感じになっています。その後、La Costa(海岸地帯)には雨季特有の豪雨が襲来した後、今度は雨季も終わっていないのに、南風(南半球の南の風は北半球の北風に相当します)が吹き始めたのです。極端から極端に移った気候に人々は戸惑っています。人々は戸惑っていますと書いたのは、現在、私は再度仕事の都合で、エクァドールに来てこの原稿を書いているからです。
私共のこのコラムを訪れて下さる方々の中には、バナナ関係者を別にすると、エクァドールの美しい野鳥の写真を見たいという方が多いだろうと推察しますし、私自身も色鮮やかで、可愛らしいハチドリをもっと掲載したい気持ちはありますが、このコラムのタイトルがタイトルですので、ハチドリや雲霧林の野鳥ばかりを載せる訳には行かないのです。バナナ園の野鳥も結構可愛いと思いますので、お付き合いください。また、バナナ園の周りにいる野鳥を撮ったものは、どうしてもバナナの葉や茎が写らないので、もしそれらを入れると、鳥は豆粒のようになってしまいます。野鳥や生物の写真にはならず、風景写真になるので、もう一つ、バナナ園の生物多様性を証明するには迫力が弱くなるのも事実なのです。ハチドリや他の雲霧林に棲息する見栄えのする野鳥は、先回と今回の出張中のウィーク・エンドにTandayapa Valley, Bella Vista, Mindo, Yanacochaで撮ったものがたくさんありますので、追って取り上げます。今回、再びTandayapa Valley Lodgeを訪ねると、そこにいた新しい管理人が、「貴方は日本人ですか。私共のオゥナーも今、日本語を勉強するのだと張り切っていますよ。なんでも、コスタリカに住む友人の日本人バーダーの方が近いうちに、日本から大勢のバーダーの方々とここに来られるのだと言って楽しみにしていますから。」と言っていました。その方々のお陰で、丁寧に煎れてくれたコーヒーを飲みながら、今回は落ち着いてハチドリの写真を撮ることができました。新しいハチドリ達にも、Yanacochaを除く上記の3箇所で会えました。その写真はいずれ掲載します。
Blue-gray Tanagerはフウキンチョウで、タイランチョウのようには攻撃的で強くない(?)と思われるのに、よくバナナの木(事実は、Pseudo-Stemと呼ばれる茎ですが)の天辺に止まってまわりを見回しているのを見掛けます。
本題のBlue-gray Tanagerですが、私共のFrushi Groupの農園の多くでは、従来のバナナ園よりははるかに数多くこの鳥を見ます。いくつかの要因があるのでしょうが、その一つは、農園従業員が野鳥を苛めないこと、そしてもう一つは当然な事なのですが、化学物質に神経を使っていることと、その使用には細心の注意を払っているからだと思います。世界のどこへ行っても、田畑や果樹園の中で野鳥がそこに栽培されている植物にいつも止まっていたり、その植物の中に巣を作り、子育てをしていたりするような光景を目にすることは、今日ではとても少なくなっています。まして、近代農法で換金作物を作っている所ではなおさらのことです。ただし、Blue-gray TanagerはHornero(カマツクリ)とは違っていつバナナが収穫されるのかが分かっていないので、収穫されたバナナのバンチと呼ばれる10ほどの房(hands)が付いた房棒の中に小さな巣と雛が見つかることが偶にあって、皆の心を痛めます。野鳥にとっては、低農薬あるいは有機栽培農園も良いことばかりではないようです。