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No.119 Yellow -Tailed Oriole

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、"Yellow -Tailed Oriole (キガタムクドリモドキ:Icterus mesomelas)"です。

Yellow -Tailed Oriole (キガタムクドリモドキ:Icterus mesomelas)

プリエトさんのサニートバナナ農園の生垣として植えられるているハイビスカスの植え込みに来ていたYellow-Tailed Oriole.

今回取上げるキガタムクドリモドキ(どうも和名が・・・)、は、第110回に掲載したチャムネエメラルドハチドリを撮影したプリエトさんのサニート・バナナ農園で撮ったものです。このOrioleはガイド・ブック The Birds of Ecuadorによれば、バナナ農園に適応できた幾つかの野鳥種の一つだとのことですが、私の経験では、Blue-Gray Tanager(第33回掲載)やSocial Flycatcher(第5回)、Tropical Kingbird(第7回)、Vermillion Flycatcher(第3回)、 Masked-Water-Tyrant(第1回)、Green Kingfisher(第4回)などと比べると、見る機会はかなり少ないほうです。La Costa(太平洋海岸平野)の南端に位置するEl Oro州にあるプリエトさんの農園から450キロメートル程離れたアンデス西山麓のLa Mana地区のオリート農園では時々見かけますが、その他の地域では見た経験がありません。黄色い羽毛の野鳥はエクァドールにはたくさんいるので、私が見かけているその鳥がYellow-Tailed Orioleだと認識していないということも有り得ますが、私はこの鳥がとても好きなので、見間違えることはないと思うのですが…。別の見方をすると、このガイド・ブックの中では、バナナとオリートの区別を意識的にしているとも思えないので、著者はオリートもバナナとして片付けているのかも知れません。この鳥にはもっともっと会って、良い写真を沢山撮りたいと思っていますが、 なかなか出会えません。


Yellow -Tailed Oriole (キガタムクドリモドキ:Icterus mesomelas)

ハイビスカスからバナナの葉に飛び移って、羽休めをしていたYellow-Tailed Oriole.

バナナ農園内で多種の野鳥を見ることの出来る条件とは、第一は、誰にも分かることですが、殺鼠剤、除草剤、殺虫剤など毒性の強い化学物質を使っていないこと、第二は、多種多様な植物が生えている自然林、二次林、森、湖沼や河川が傍にあることで、第三はその農園で野鳥や動物を苛めない人々が働いたり生活していることだと思います。おそらく今書いた点は、エクァドールのバナナ農園にだけ当てはまるのではなく、世界中の田畑に野鳥や野生動物がよく見られるかどうかのポイントだと信じています。例えば、同じように化学薬品の使用を出来る限り抑えてバナナ栽培をしているサニート農園がエクァドールには14箇所程ありますが、堆肥を作る上で大事な役割を担っているミミズが野鳥に食べられるのをひどく嫌って、野鳥をいつも追い払っている所などは、食虫の野鳥だけでなく他の野鳥の種類や数も少なく、たとえ有機栽培バナナ農園であっても、周りに植物相が豊かな林や森、原野、河川、湖沼がない所では目にする野鳥や野生動物 の種類も限られていて、自然が豊かなサニート農園のようには多様な動植物を目にすることが出来ないことなどはその良い証だと思います。 さらに、それらの林や森、原野が緑の回廊で他の森、原野に繋がっていればさらなる生物の多様性が存在し、その上、その回廊がアンデス西山麓にでも繋がっていれば、野生動物の棲息条件としては理想的です。