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No.118 Barred Forest-Falcon

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、"Barred Forest-Falcon (和名不明: Micrastur ruficollis)"です。

Barred Forest-Falcon (和名不明: Micrastur ruficollis)

Bucay のオリート農園内の梢で周りを見回していた Barred Forest-Falcon 。

今回取り上げる Barred Forest-Falcon も和名は分かりません。ガイド・ブック“ The Birds of Ecuador” によるとアンデス山脈西山麓から La Costa( 太平洋海岸地帯 ) にかけて多く見られる“ Forrest Falcon (森林隼)“だと説明されています。この写真を撮ったのも、アンデス山脈が太平洋に続くグアヤス平原に潜り込んで行くちょうど境界線に在って、古くから首都のキートと海岸地帯を結ぶ街道の要所となっている谷間の集落 Bucay の町の北側にあるオリート農園の中でした。


Barred Forest-Falcon (和名不明: Micrastur ruficollis)

後ろを飛んだタイランチョウが気になったのか、鋭い目で後ろを凝視していた Barred Forest-Falcon 。

その日も、日本からの産地視察の9人の仲間達、20代から60代までの気さくな男達と、陽気でやる気十分なエクァドール人スタッフ6人ほどに案内されて Bucay のサニート農園地帯を半日かけて東から北の地域を視察して廻っていました。9人の内6人は初めてのエクァドール・バナナ産地視察だったので、眼にするものの殆ど総てが目新しく、各自手にしたデジカメのシャッターをひっきりなしに切っていました。特に、午前中に廻ったオリート農園で70歳近いおばあさんが、「私に向かって来たので、このマチェーテ(山刀)で首の付け根を叩き切ったんだよ。この蛇はね、死んだ後でも気を付けなくちゃいけないんだよ。あんたは中国人かい。ああ、ハポネスかい、では知らないだろうけど、この蛇の骨は、牙じゃなくても、腐りきらないうちは、間違って手や足に刺さるとそこが熱を持って凄く腫れるんだよ。だから、子供たちが来ないような所に埋めに行くんだよ。」と言って、未だ胴体を蠢かせている、首が半分切られた1メートル半程の猛毒の蛇エキス( X )を竹の棒の先にぶら下げて来たのを見てからは、先頭を歩くエクァドール人スタッフの後を慎重に歩いていました。勿論、中には猛毒の蛇を見たことなど気にしないで、ずかずかとオリート農園の中を歩き回る猛者もいました。アンデス山麓特有の霧に邪魔されて、日が差さない農園の中を歩きながら、金属的な鳴き声を発し続けてオリートの花から花へと飛び廻っていたハチドリの写真を撮ろうと無駄な努力をしていた私の耳に、鷹特有の、「ピイーッ、ピイーッ。」と鳴く声が聞こえて来ました。鷲鷹好きの私としては、手に負えないハチドリはもうどうでもよくなってしまって、足元に細心の注意を払いながら鷹の声のする方へ静かに歩いて行くと、その辺りで一番高い木の梢で白っぽい鷹が我々侵入者を警戒して鳴いているのが目に入りました。400ミリ4 F のレンズに2倍のテレ・コンヴァージョンを付けたカメラのシャッターを切りましたが、なにせ、鷹までの距離が遠過ぎて、レンズの中心のフォーカス点だと F8 まではオート・フォーカスができる筈なのになかなか焦点が定まらないので、マニュアルでフォーカスしようと必死に頑張りました。鷹の方は、私までの距離があるので安心していたのでしょう、暫くは飛び去らないで、こちらを見続けていました。毒蛇や鷹まで見ることの出来た仲間達の多くは、「やっぱりエクァドールだよなあ。」と思ってくれたようでした。