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No.109 Black-and-white Seedeater

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、" Black-and-white Seedeater (シロクロヒメウソ: Sporophila luctuosa ) "です。

Black-and-white Seedeater(シロクロヒメウソ:Sporophila luctuosa)

一脚に望遠レンズを装着したカメラを持った人間が 5 メートル位の距離まで近づいても、気にせずイネ科の野草の種子を大きな嘴で一生懸命に啄ばんでいたシロクロヒメウソの雄。

今回取上げるカエデチョウ科のシロクロヒメウソも、今まで何回も野鳥写真の舞台となった Mocache( モカチェ ) 市の女性市長さん“ Sra. Andrade (セニョーラ・アンドラーデ)”のサニート農園“ San Marcos (サン・マルコス)”で撮ったものです。前にも書きましたように、この農園には、バナナ園の他にもテラピアの養魚場や、 2000 頭ほどの牛を飼育する牧場もありますので、池や沼、牧草地と 7 ヘクタール程の堆肥場を抱えたバナナ畑が複雑に入り組んでいるため、農園に居ついている野鳥の種類ももともと多いのですが、普段牛が食べているイネ科の野草に実が生る季節は、周りの草原や林からも多くの seedeater 達が集まって来るのでその数と種類がより多くなります。既に、カワリヒメウソ( 28 回掲載)、シコンヒワ( 72 回掲載)はここの農園で撮ったものをホーム・ペイジに載せましたし、キンノジコ( 12 回掲載)、ヒムネシトド( 31 回掲載)や濃いグレイの羽色をしたフィンチ類、北半球のカラ類に良く似た羽模様をした小型の野鳥など、まだまだ多くの seedeater を撮っていますが、その殆どがひどい手ぶれや、枝被り、距離が遠い上に対象の鳥が小さすぎて、 400mm × 1.4 や 400 × 2.0 のレンズで撮ったものは証拠写真にすらならないもので、せっかくのチャンスだったのになあと悔やむものばかりですが、とにかく、実に多くの種子喰いの野鳥を見ることが出来る農園です。


Black-and-white Seedeater(シロクロヒメウソ:Sporophila luctuosa)

シロクロヒメウソの雌。カワリヒメウソやシコンヒワもそうですが、雄と雌の外見がまったく異なります。

この写真も、同農園のほぼ中央に位置する小高い丘陵の上に作られたセスナやパイパーの双発機が離着陸するための飛行場の南側、小さな谷に続く所に来ていた番のシロクロヒメウソを見つけてシャッターを切りました。この谷の両側は勾配がかなり急なので、耕作には利用されていないため、未だ La Costa (太平洋岸地帯)固有の植相を保っており、ナマケモノを見た事もありましたし、野鳥類では、キツツキのホオグロミヤビゲラ( 65 回掲載)、フクロウ類、などフォトジェニックな多くの野鳥を目にする機会も多い所なので、いつか時間の制約を受けずじっくり落ち着いて写真を撮ってみたいなあ、と思うスッポトの一つです。この広い農園に今流行のデジスコを持ち込んで、写真が撮れたら、一帯どの位の野鳥が撮れるのだろうとちょっと指を折って数えてみたところ、思いつくだけでもざっと40種以上の野鳥が浮かびましたので、多分季節を選んで二日ぐらいかければ、 50 種の鳥は撮れると思います。特に、農園がケヴェド川の辺に作られていることに加え、農園内に養魚場と二つのかなり大きな用水池がありますから、ヤマセミ、鵜、鴨、バン、サギ、チドリ、シギなどの水鳥の種類は私が考える以上にいるはずです。