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No.107 White-necked puffbird

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、" White-necked puffbird ( シロエリオオガシラ: Notharchus macrorhinchos) "です。

White-necked puffbird ( シロエリオオガシラ: Notharchus macrorhinchos)

大きなタマムシ(甲虫)を良く見かけるサニート農園、 Sr. Tanca( タンカさん ) の San Miguel( サン・ミゲル )農園の古木に止まっていたシロエリオオガシラ。この鳥は大型の昆虫や小さな爬虫類などを食べるようです。

今回取上げるシロエリオオガシラは、ガイド・ブックによれば、 La Costa (海岸地帯)ではある特定の地域を除いてはあまり目にすることのできる野鳥ではないと説明されています。私の経験でも、確かに目にする機会の少なかった野鳥です。その理由はいくつか考えられますが、その一つは、バナナ園が営まれている地域は Guayas (グァヤス)河水系の東側と La Costa の南が大部分で、その一帯には西側ほどこの鳥が棲息していないのか、あるいはこの鳥が大きな木々の樹冠部に近い所で、じっとあまり動かずに止まっていることが多いため、せわしなく農園回りをする私たちの目に付かないのかのどちらか、またはその両方の理由によるのかも知れません。この二葉の写真は、グァヤス河水系の一つ Rio Quevedo (ケヴェド川)の東岸に作られた Sr. Julian Tanca (フリアン・タンカ氏)の“San Miguel( サン・ミゲル ) ”サニート農園の中で河岸に残っている大きな古木の並木の一つに止まっていたシロエリオオガシラを撮ったものです。この古木の並木には、一時は絶滅して La Costa からは姿を消したと信じられていた猿の小さな群れが、ちょいちょいやって来ると農園の労働者達が言っています。


White-necked puffbird ( シロエリオオガシラ: Notharchus macrorhinchos)

ガイド・ブック(The Birds of Ecuador)のイラストの様には、頭部が大きい鳥ではないと思うのですが。もしかすると、これは亜種か変種なのかなあ、とも考えています。

シロエリオオガシラのことは、図鑑その他で知っていましたし、それまでも遠くからチラッと見た事はありましたが、写真が撮れる距離ではありませんでしたので、高い樹冠とはいえ 20メートル以内の比較的近い距離でシャッターを切れたのは、この時が初めてでした。前にも書きましたように、 La Costa では野鳥や自然を大事にする農園を除いては、何処ででも目にするような野鳥を例外として、野鳥が人間を怖がるようになっていますので、ガラパゴスやミンドなどの、新しく野鳥観察保護地として観光用に特別扱いされている所のようには近距離から鳥を撮影する事は出来ません。それでも野鳥の数自体が多いので、野鳥を見る機会には恵まれていると思います。特に、水田、川べり、湖沼、湿原等にいる水鳥達は、果実を啄ばみに果樹園にやって来て、手酷く追っ払われる Fruit eater 達の様には人間を恐れませんので、ハイ・ウエーから 500 ミリ位のレンズでも十分写真が撮れます。今流行のデジスコを使ったら、大型の水鳥だけでなく、シギやチドリのような小型の水鳥もしっかり撮れるでしょう。ただし、その場合は三脚を設置する場所を選ばないと危険です。ハイウェイ・バス、バナナ輸送トラック、大型トレイラー、乗用車などが、分離帯やガードレイルがないコンクリートとアスファルトで舗装された道を、100キロを越えるようなスピードで走行しますし、まして乗用車の多くは140キロ以上の速度で走り抜けて行くのが普通ですから。特に対向車線に入ってでも、前の車を追い越す事が当たり前になっているような運転マナーが普通ですし、路肩などは無いに等しい所が大部分で、パトカーもスピード違反を取り締まる事はあまりありません。私も野鳥を道端で撮る時は、産地回りをする都合上手持ちでしか写真を撮れないのですが、それでも、路地に入るか、十分なスペースのある場所でしか車を止めてもらいません。もちろん、安全な場所を探していてシャッター・チャンスを逃すことはちょいちょいあります。ついでに、覆面パトカー等というものは見たことも聞いたこともありません。エクァドールには無いと思います。もっとも、森や山の野鳥を撮るときは当然車の来ない所が99%程ですから、交通事故の心配は無用です。