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No.104 Galapagos Giant Tortoise

Photo & Text:Motoaki Itoh

今回は、番外編"Galapagos Giant Tortoise (ガラパゴスゾウガメ: Geochelone elephantopus elephantopus)"です。

Galapagos Giant Tortoise (ガラパゴスゾウガメ: Geochelone elephantopus elephantopus)

サンタ・クルス島の牧場の中を、食事を終えて悠然と歩いていたガラパゴスゾウガメ

大部分の我々日本人にとって、エクァドールと言ったら、ガラパゴス諸島。ガラパゴス諸島と言ったら、巨大な陸亀、ガラパゴスゾウガメが連想されるのではないかと思います。ガラパゴとは、スペイン語で「馬の鞍」と言う意味で、同諸島に棲息する巨大な陸亀の甲羅が Galapago と呼ばれた馬の鞍の形に似ている所から、「ガラパゴスゾウガメ」と命名された事は、自然に興味を持っている人達にとっては、もう常識のようになっていますし、このゾウガメに関する本や科学文献などは、世界各国の主要言語で刊行されていますので、ガラパゴスゾウガメについての素人の浅薄な知識を披露するのはやめます。唯一つ言えることは、ダーウィン研究所で今も研究活動をしている人々、過去に滞在して研究をしていた人々など、様々な国の大勢の科学者達が必死になって、一度は人間によって絶滅の淵に追いやられていたこのゾウガメを再生、増殖しようとしており、その効果が実を結び始めていることです。

しかし、絶滅した種は永遠に蘇って来ません。そして、たった一頭になってしまった、ピンタ島のゾウガメで、 Lonesome Jorge と呼ばれるゾウガメになんとしても、子孫を残してもらおうと、科学者たちは様々な試みをして来ましたが思わしい結果は得られていません。生物学的に非常に近い遺伝子を持った、近くの島のメスのゾウガメを配したのですが、無駄に終わったそうです。ロンサム・ジョージは、年を取り過ぎているのだ、いや、ホモ・セクシュアルではないのか、いや、長い間一頭で暮らしていた為に生殖行為を見た事が無いのだろうとか、実に多くの推論、憶測がなされ、それに基づいた対応が取られたそうですが効果はありませんでした。そして、今では、クローン技術を使って、なんとかピンタ島のゾウガメの遺伝子を後世に残せないかと研究中だそうです。

Galapagos Giant Tortoise (ガラパゴスゾウガメ: Geochelone elephantopus elephantopus)

同じく上記の牧場で、突然の来訪者を警戒して首をすくめて我々を見ていたガラパゴスゾウガメ。

野鳥、犬、猫などの動物に対して、感情移入をしがちで、動物や植物を擬人化するのが好きな私は、「もしかすると、ジョージは、身勝手な人間共め、過去に俺たちを数十万頭も殺しておいて、今になって子孫を残せだと、ふざけるな。と、意地になっているのではないか」と、友人に言ったことがあります。すると、その友も、「有り得るよなあ。」と返事をしたので、初老の二人が寂しくそして苦々しく笑い合ったのを思い出します。最近の科学では、感情・思考は人間だけに備わったものであると永く説明されていたのが、動物にもあると言われ始めましたので、そう遠くない未来に動物とある種の会話が出来るようになるまでジョージが生きていたら、彼が何を考えていたのかが分かるかも知れませんね。でも、彼は非常に高齢だから、それも難しいでしょうね。

ゾウガメは草食ですので、本来の彼らの食べ物の他にも、人間が持ち込んだフルーツを好んで食べます。サン・クリストバル島の教会で飼われているゾウガメはバナナが大好きで、ほんとに美味しそうに食べます。